爆弾投下ドラゴン

『まあ、寝ぼけてたってのもあるんですけどね……あなたに念話するためにパスを繋ごうと思っても、それが拒否されてたんすよ。』


 拒否って……俺、拒否した自覚無いんだがな……まあ確かに、お前と念話が出来たのは、俺がコミュニケーションを取ろうとした時だったからな。念話っていうのは、相手が承認しないと出来ないものなのか……。


『いやいやそんなことないんで……今までの中で、我が念話を試みても拒否されたのは、あなたを含めてたった二人なんで……。ああちなみに千を越える生命体との念話施行回数のデータ上でですよ?』


 俺を含めて二人……『二人』って事は、俺以外にもう一人の人間が念話を拒否したって事か……。なあ、その、俺以外の念話を拒否した人って誰だ?


『いや個人情報なんで、我から答えを言う事は無いっすね……まあ、一回だけ〔はい〕か〔いいえ〕で答えてあげましょうか?』


 ほぼ無理ゲーじゃねぇか。俺以外に龍の王からの念話を拒否出来た人物……もしも、『拒否が出来る』=『龍の王より格上』ならば……拒否出来た俺が知るなかで、一番強い奴は…………。なあ……そいつの名前って、『ジグラ』……か?


『はい、そうですね~あなた異世界人なのによく知ってましたね~。まあ、〔大賢者〕と呼ばれているくらいですもんね……』


 へぇ……ジグラはお前とあってたんだな。それっていつ? どこで? あ……永い時を生きるお前が覚えてるわけもないか……お前人間じゃないもんな……ドラゴンだもんな。


『少しあなたの発言に悪意を感じたのは置いといてですね……彼と初めて会ったときの事はよく覚えてるんですよね……たしか……約三千年前くらいでしたかね。簡潔に言うと、〔一対一で戦った〕んすよね……そして我は負けそうになったんで、爆発を起こしながら空を飛んで逃げたんすよ。その後も会うたびに戦って逃げての繰り返しだったんすよ。』


 大賢者に負けてばっかりなのか……ん? まてよ? じゃあ、ジグラに勝った俺の方が火龍よりも強いって事か? まあ、魔法の属性の相性や戦いの経験なんかも関係してくるし、必ずしも強いとは言えないか。


『嘘つくのやめてもらっていいですか? 嘘は時に人を喜ばせますが、今のは人を不快にさせますよ?』


 いや嘘じゃなくて事実だからな? 事実を事実をだと見抜けないと世のビッグウエーブに呑まれるぞ?


『本当ですか?』


 本当だ。俺は大賢者ジグラに勝った。少なくとも大賢者ジグラを名乗る人物に勝った。


『……どうやら本当のようですね……。』


 俺が大賢者ジグラに勝った事はそんなにも認めたくない事柄なのか? 悪かったな……そんな風に聞こえてよ……!


『いやいや、違いますよ? ……大賢者ジグラは数年前に亡くなっているんで、あなたと戦う事は、彼がアンデッドにでもならない限り不可能なんすよ。でも、彼がアンデッドになるなんて、天地がひっくり返るくらいにあり得ない事なんですよね。だからおかしいんですよ……。』


「え?」

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