エキシビションマッチ
「あ、すみません、ソウタ様はもう一戦あるので、控え室の方に戻ってください。」
部屋を出て、終了者待機所へアキラと行っていると、スタッフの人に止められた……『俺だけ』が。
「もう一戦? 俺ので最後な筈だぞ?」
疑問を口にするが、スタッフによると本当に、もう一戦あるらしい……俺、聞かされてないんだが……。
「じゃあ、もう一戦頑張ってこいよ~。俺は上から応援してるぜ!」
そう言って奥へ消えていくアキラに片手を振りながら俺は来た道を戻り、がらんとした部屋に入る。始めの方は、賑やかだったのだろうか……。
椅子にどっかりと座り、回復薬を生成して飲む。(鑑定)……うん、魔力は全回復したようだ……。
「さあ! いよいよ、御前試合も最後となりました! それでは入場して頂きましょう! まずはこの男! 先程圧倒的な魔法を見せてくれた……ソウタァァァァァァァ!!!!!!」
『オオオオォォォォォォォォ!!!』
長めに待つと思ったら、意外とすぐに呼び出された。事前にあると連絡されてないのでボイコットでもしてやろうかと思ったが、ちょうどいい機会だと思ったので、前に進む。
俺の回復を待たずして、戦いを始めようとする……よっぽど俺を負かせて引き込みたいのだろう……。
「そして、気になる対戦相手は……クラギス帝国の勇者にして最強の男! 勇者ヤソラ様だァァァァァァァァ!!!!!!」
『ウオオオオオォォォォォォォォ!!!!!!!!』
俺の時より数段大きな熱狂を浴びながら、金ぴかの鎧を纏い、黄金色の輝かしい剣を携えて、向かいの大きな入り口から、こちらへ歩いてくる若者と目が合った。
──そうなんだろ? ヤソラ…………──
「やあソウタ。さっきまでの戦闘お疲れ様。カゲフミごときに苦戦してるようじゃ、彼よりもレベルが50上の僕には敵わないよ? おっと失礼。レベルが本人の強さを表すとは限らない事を君が身をもって証明してくれたばっかりだったね?」
ああ、腹が立つ……結構正しい線を突いてくるから余計に癪にさわる……。
「ああ、安心して? 僕が君に恥をかかせないように、すぐに決着を付けてあげるから。さっきまで戦ってて疲れてる君をいたぶるのは、僕の趣味じゃないんだ。」
「ハハハ……不快だ。」
ああ腹が立つ……もう手加減はしない……
口から出掛かっていた感情がストーンと、喉から胃の方へ落ちていく。
冷たいな 何故か頭がスッキリしてきた
「始めッ!」
無駄な事はしない
「ホーリーセイバー!」
さすがビジュアル特化
対して俺のは機能特化
「『水魔法』」
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