下ネタ野郎

「……そんな下ネタを叫ぶな。まだ起きてない人達もいるだろうし、聞いて気持ちが良くなるわけでもない……まあこれは俺の感想だけど、とにかくそういうのはやめとけ。」


「ソウタも知ってるだろ? 今出したら出力不足でアレがムスコ伝って俺のパンツにインしちゃうんだぜ?」


「だまれ。それ以上下ネタを言うな。」


「わりぃわりぃ。で、水を下さいな……。俺はもう、お前の水無しでは生きてけねぇ体になっちまったんだよ……。」


「お前尿をこらえてる中で更に水飲むとか、正気か? ……まあ、ガチめに飲むなら自己責任でな……『水魔法』。」


「──プハー! やっぱり美味いぜ! 何でこんなに美味いのか俺はわからん! これが出てくるウォーターサーバーあったら即買いするレベルで美味い! ……お、俺のムスコがお辞儀し始めたからちょいとシてくる。」


「…………あまりうるさくするなよ。他の人に迷惑だから。あと早めに帰ってこいよ……いつ出発かわからないんだから……。」


「りょりょりょの了解だぜ。」


 そう言って、アキラは昨日俺達が行った所と同じ風下の所へ行き始めた……ってあれ?  今は朝だけど風が逆向きになってない。昨夜と全く同じだ。偏西風でもあるのか?


 まあいいか。それよりも今のうちに食事を摂っておかねば……と言っても、支給された携帯食料を貪るだけだが……


 パサパサの携帯食料を口の中で『水魔法』で生成した水で湿らせながら、咀嚼する。アキラは俺が『水魔法』で生成した水が美味いと言っていたが、どうやらその美味さは携帯食料には勝てなかったようだ。


 今の俺の口の中は携帯食料の不味さに蹂躙されている……物を支給されている側の分際でこんな事を思うのは良くないが……(もうちょっとマシな物を支給してくれ!)

と思ってしまうのである。


 それからしばらく経って、俺に支給された中の、今日の朝食分の携帯食料は全て腹に収まった……てか、まだアキラが帰ってこないな……まさか、敵に襲われたのか!?


 すぐさま彼が居るであろう所に走って行くと、


「いや~やっぱり俺は巨乳の方が良いと思うんスよね~……あ。」


「おう、お前ソウタじゃねぇか! 昨夜ぶりだな!」


 ピンピンしているアキラが、ジーベックと話している現場を目撃した……なるほど、遅いと思ったらこういう事だったのか……心配して損した……。ちょっと意地悪な事してみるか……。


「これはどういう事かな? アキラ君? 僕心配したんだよ? 敵にでも襲われたんじゃないかって……。」


「ちょ……ソウタの一人称が『僕』になってるっスよ? 直しましょ?」


「ははは、話題を切り替えようとしても無駄だよ、ワトソン君……。」


「いや、これは……」


「いやすまんなソウタ。これは……。」


「あ、ジーベックさんはちょっと静かにしといて下さいね?」


「あ、お、おう……。」


「で、これは?」


「…………すいませんでしたぁぁぁッ!」


「いや土下座をする必要は無いよ? 僕は、これはどういう事か説明して欲しいだけなんだよ?」


「それは、その……たまたまジーベックに会ったので、話をしていたんです……。それで遅くなったんです……すいませんでしたぁぁぁ!」


 これ以上は流石にやめとくか……。


「……安心しろ。そんなに俺怒ってないから。ちょっと悪ノリしてみただけだ……。」

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