決断
「…………わかった。その条件をのもう。俺のレベルをあっちに知らせてもいいから、奴のレベルを教えてくれ。」
ゾボロさんはニヤニヤしている。彼は球に手を触れた。
「いいだろう。奴のレベルを教えてやる。奴のレベルは…………762だ。ちなみにあっちの許可は取ってるから気にするな。」
球の光は青……すなわち事実。
「なっ!?」
低っ! とてつもなく低っ!
いや一級冒険者の大体のレベルよりは結構高いんだろうけどさ、それでも低くない?
俺がレベルお化けなだけか…………というか、この事を踏まえたら、大賢者ジグラってめちゃくちゃ強い奴なんだな。
あのクソジジイ、そんなに強かったのか。まあ魔法は結構ヤバかったけどさ、振る舞いや行動のせいでそんなに強くは見えないんだよな……。
────
──俺は大賢者ジグラを回収するため、彼が居るであろう王立魔法学園に、またやって来た。
俺はここの名誉学園長なので、顔パスで入れる。それでいいのか?……警備ザル過ぎない?
彼はおそらく演習場に居るのだろうが、俺はそこまでの道のりを覚えていない。
しかし、ここからでも見えるほどの火柱がたっているので、おそらくあそこに彼が居るのだろう。俺はそこへ向かった。
「生徒達よ、とくと目に焼きつけい! これが大賢者たるわしの研究の集大成じゃ! 『カオス・マジック』!」
何をやってんだあのジジイは! こんな所であんなヤバイ魔法をぶっぱなしたら、生徒達が死ぬだろ! 仮に奇跡的に全員無事でも、辺り一体の地面がえぐれるぞ!
咄嗟に『水魔法』を使って、前に彼と戦った時のように、彼を囲む水の球を生成して、抜かれないように固定した。
水の球の中で、彼の魔法は彼自身を巻き込んで爆発した。前にも見たな。この光景。
水の球を消して、落ちていく彼を見届ける。彼は演習場の地面にうつ伏せに落ちた。痛そうだけど、多分彼の魔道具で無かったことにしたはずだ。
その証拠に、外傷は特に見当たらなく、血も全く出ていない。そして、ゆっくりと立ち上がった。
「ソウタの仕業か!?」
ぶちギレてんのかな?
「そうだ。俺の仕業だ。お前の魔法があまりにも危険だから、一番被害が少なくなる方法を取らせてもらった。」
彼の方へと歩きながら言う俺に、生徒達の視線が一気に集まった。
「何であんなことをしたんじゃ!? 魔道具で起きたことを無かったことに出来るのを、ソウタは知っとるじゃろ! それに威力も加減しとるから、誰一人死にはせんぞ!」
「知っている。だが、それが生徒達を危険にさらしてもいい理由にはならないし、以前にお前が俺に放とうとしたあの魔法は、そんなものでは無かったはずだ。魔法の見た目もほとんど違っていない。万が一のためにも、このような方法を取らせてもらった。」
「ぐっ……………………」
「ほら帰るぞ。用事は済ませてきたから。」
まるで公園で遊ぶ我が子を連れ戻すような感覚だな。まあ、俺はされる側の人間だったがな……。
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