王都のギルド
「おう、ソウタか。えらく早く来たな。」
「色々あってな…………これ、ガレアスから預かっている、お前宛の手紙。」
「おう、ごくろうさん。………………なっ、異世界人がダンジョンマスターだったのか! それで………………王立魔法学園に引っ越すだと!?」
「そうだ。学園長にはもう知らせてある。『自主的に魔物と戦うための訓練場』として運用する方向で検討するそうだ。あと、その異世界人はしばらくの間王立魔法学園に滞在する事になったから、連れてきていない。」
「そうか……お前、ダンジョンコアは持ってるか?」
「いや、その異世界人に返したぞ。だから俺は持ってない。」
「念のためこの球に触れて、俺の質問に答えてくれ。…………お前、ダンジョンコアは持ってるか?」
「いや、その異世界人に返したぞ。だから俺は持ってない。」
球の光は青い。
「どうやら本当のようだな…………。わかった。俺が手続きをしといてやる。これ以外に用事は無いのか?」
「無いぞ。そっちからは俺への用事は無いのか? 無いのなら俺は帰るがな。」
「今のところは無いが、多分そう遠くないうちに用事が出来ると思うぞ。」
「何だと?」
「そりゃあ、あのレッドドラゴンを一人で倒して、ダンジョンも一人で攻略したんだからな。どこかにお呼ばれされる可能性は結構あるぞ。」
ニヤニヤしながら言われると、なんか不快感を覚えるのは気のせいだろうか。
「例えば?」
「そうだな……同じく魔の森の調査の依頼を受けたクラギス帝国の異世界人パーティーのお食事会とかだろうな。パーティーへの勧誘が目的だろうよ。前にお前が断ったんだからな。」
「ああ、あいつらか…………俺は一人がいいんだよなぁ。」
「まあ、そういうのに誘われるのは、強者の特権って奴だと思っとけ。少しは気が楽になるかも知れないぞ。」
強者の特権……ねぇ。
「ならねぇよ。そういえば、そのパーティーのリーダーのレベルって、どれくらいなんだ? もしかして3000いってるのか?」
駄目もとで聞いてみる。
「いくら三級冒険者が相手でも、個人情報は易々とは渡せないぞ。まあ、お前のレベルをあっちに知らせてもいいんだったら、教えてやるよ。」
ですよねぇ。そんな簡単に教えてくれませんよねぇ。交換条件はかなりキツいなぁ。
もし、俺のレベルが奴より高ければ、強い人を求めているであろうそのパーティーからの勧誘が激しくなる。
もし俺のレベルが奴より低ければ、
『お前の方がレベルが低いんだから、俺の言うことをきけ。そしてパーティーに入れ。』
みたいな感じで強引に入れられる可能性がある。
一番良いのは、俺のレベルがそのパーティー全員のレベルより物凄く低い場合だ。これなら、
『お前みたいな弱者は必要ない。』
みたいな感じで勧誘が来なくなるだろう。
だが、俺のレベルは大賢者とほとんど同じだ。そのパーティー全員のレベルより物凄く低いなんて、おそらく無いだろう。
ああ、マジでどうしよう……………………
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