二人目

「君は誰だ?」


「お、俺は、穴熊大地というものです。殺さないで下さい!お願いします!」


 俺の前で土下座をしている人は、アナグマダイチと名乗った。多分異世界人だな。


「そっちが俺を殺そうとしない限り、今は殺しはしない。聞きたい事がある。落ち着いて答えろ。嘘を吐いたら、どうなるかな?」


 すまんな。脅迫しか思い付かなかった。


「は、はい、何でも聞いて下さい!」


「ここはダンジョンだ。そしてお前は丸腰だ。何故ここにいるんだ?」


 俺もだけど…………


「それは…………。」


「どうした。俺の質問に答えられないのか?」


「俺が……ここのダンジョンの、ダンジョンマスターだからです。」


(鑑定)


アナグマ ダイチ (17)

ヒューマン Lv34

性別 ♂

ステータス

体力902/932

魔力824/824

筋力921

敏捷881

防御792


スキル ダンジョンマスターLv10

ダンジョンを一つ生成出来る。スキルレベルとスキル保持者のレベルが上がったときに貰えるポイントを使って、ダンジョン内のシステムを設定、変更したり、内装をカスタマイズ出来る。

ダンジョンコアが壊された時、スキル保持者も死に、スキル保持者が死んだ時、ダンジョンコアも壊れる。また、スキル保持者は、生成したダンジョンのコアから半径3kmの範囲しか移動出来ない。


育ち盛りLv10

スキル保持者のレベルアップに必要な経験値が半分になる。レベルが上がるほど、より少なくなる。


 色々と聞きたい事はあるが、後で聞くか。言っていることは本当なようだし。


「ほう…………俺は冒険者の滝川宗田だ。このダンジョンを攻略しに来た。」


「あなたも異世界人なんですか!?」


「そうだ。『あなたも』ということは、お前も異世界人なのか?」


 ここではっきりさせておかねば。


「そうです。色々あって、ここにいます。」


「色々の部分を詳しく言うんだ。」


「俺は、チュートリアルダンジョンの中で、このスキルを使ってダンジョンを生成しました。でもダンジョンの中でダンジョンは生成出来なかったらしくて、俺が生成したダンジョンは、ここに弾かれてしまったみたいなんです。」


 なるほどな。神が用意したダンジョンと、一個人が生成したダンジョンでは、前者のほうが優先順位が高いのだろう。


「その事と、お前がここにいることに、関係があるのか?」


「あります。俺の、『ダンジョンマスター』というスキルのせいで、俺は自分が生成したダンジョンのコア……つまりこのダンジョンのコアから、半径3キロメートルの範囲しか移動できません。だから、コアを含んだこのダンジョンがここに弾かれた時、俺もそこへ引っ張られるように、強制転移させられたんです。」


 運の無い奴だな。さて、そろそろ本題に移るか。

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