出会い

 それからというもの、朝起きて魔の森へ行き、戦闘しまくって夕方帰るのを、三日続けて一日休む……といった日々を送っていた。

大体一ヶ月位だろうか。


 レベルも少し上がった。


 その日も一昨日のように、魔の森へ行き、魔物達との戦闘を繰り返していた。


 初めての時と比べると、かなり森の深い所まで来るようになった気がする。そのせいか魔物もかなり強い。


 森の中を獲物求めて歩きまわっていると、急に開けた所に出てきた。よく見ると小屋がある。


 木でできたその小屋は、所々板がめくれ上がったり、黒くも白くも変色したりしている。


「誰か暮らしているのか?……でも、ここは危険地帯の魔の森の中だぞ……流石にそれは無いか……」


「いや、住んでるぞ。ワシが。」


「えっ?」


 声のした方に目を向けると、一人の老人が

笑みを浮かべて立っていた。髪の毛は白く、髭は腰まである。


「誰だ?」


「ワシはジグラという者じゃ。大賢者とも呼ばれておる。聞いたこと無いか?」


 ジグラ?……俺が着てる鎧の製作者じゃないか!


「聞いたことは無いが、この鎧の製作者であることは知っている。」


「それは知っているのか……小僧、『鑑定』スキルを持っているじゃろう?」


 大賢者とか呼ばれてるジグラさんの前では、隠し事など出来やしないだろう。ここは素直に答えるのが良しか。


「ああ、持っている。この鎧を『鑑定』して、あんたのことを知った。」


「そうか。」


「聞きたいことがある。」


「ほう、言ってみるがいい。」


「俺はこの鎧を鑑定したんだが、そのときは持ち主がいなかった。だが、それでもあんたは生きている。これはどういう事だ?」


「あー…………ワシが他の鎧を着ているのを見られてな、逃げ出してしまったんじゃ」


 ん?逃げ出した?鎧が?


「まるで、これに感情があって、しかも勝手に動いたみたいな言い方じゃないか。」


「そうじゃ。動くし、あるぞ?感情が。」


 なら何でゴブリンの財宝庫にこれがあったんだよ!……と言いたくなるのを我慢して、


「えっ?あんの?ほんとに?」


「本当じゃ。今は小僧に懐いておるようじゃな。…………ところで小僧、ワシからも質問じゃ。小僧は、この世界の人間か?それとも別の世界から来た者か?」


 それを聞いてくるか……隠し事はできないだろうしな……


「後者だ。邪神を倒すために、神によってな……俺の他にも結構いると思う。」


「そうか……邪神を倒すためか。ヤツは強い。ワシが人生の中で、敗北を知った唯一の相手だ。やはり神なだけあって、強いぞ。」


 そんなに!?……転移者が全員手を組んだら殺れそうとか思ってたけど、そんなことは無いかも知れないな。


 というか、ジグラさんってどのくらい強いんだ?

(鑑定)…………?(鑑定)………駄目だ。

表示されない。


「言っておくが、ワシへの『鑑定』は無駄じゃぞ?……まあレベルだけは教えてやろう。ワシのレベルは2626じゃ。」

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