謁見

 あのあと、老婆に魔石の入れ替え方を教わり、店を出た。さて、そろそろ帰るか。


 冒険者らしき人に、冒険者ギルドの行き方を教えてもらったので、その通りに行くと、狭い道でチンピラに絡まれた。


 金銭荷物に服まで要求されたので断ったら、拳が飛んできた。


 ここで、ステータスがイカれてる俺なら、奴等を殴ることも出来るが、そんなことはしない。


 なぜか?

 俺が殺人犯になるかもしれないからだ。

 俺は手加減が苦手だ。今まで使ってきた戦法は、相手を戦闘不能にすることではなく、殺すことが目的だから。


 俺がもし、一般人であったなら、殴っても正当防衛として許されたかもしれない。


 だが、俺はもう三級に上がった身だ。正当防衛とは到底言えない。


「三級冒険者なら、もっと上手くやれたんじゃないの?」


 とか言われるに決まってる。


 だから、俺はこいつらを殴らない。その代わりに、水のロープのようなもので縛って、衛兵に突きだした。


 憲兵から正しいギルドへの行き方を教えてもらったので、さっさと行って、向かいの宿で一泊した。


 夜は危険だなぁ。


────

──それから王都をぶらぶらしているうちに、とうとう謁見の日になった。


 予定時刻の数分前に、ギルドに着いた。そこでゾボロさんと合流して、一緒に城へ向かった。


 城に入ると、待機室みたいな所に案内された。すると、案内人さんが振り返って、


「ではソウタ様、謁見の礼儀作法について、私がつきっきりで指導させて頂きます。」


「頼む。」


────

──


 長い指導の後、俺は謁見に臨んだ。

どうか首チョンパされませんように。


────

──俺は銀剣勲章を授与された。


 そして、騎士爵の位をもらった。領地は無いが、一応貴族らしい。黒曜貨500枚もついでに貰った。冒険者証に入れとくか。


 あと、『王立魔法学園名誉学園長』の座も貰った……要らねぇ。明日早速そこに行かなければならなくなってしまった。


 貰ったお金を冒険者証に入れるためにギルドへ戻ると、ゾボロさんに呼び出された。


「勲章と褒章の内容を教えてくれ。冒険者の情報は記録しておく必要があるからな。」


「えっと……銀剣勲章を授与されて、騎士爵の位と、『王立魔法学園名誉学園長』の座と、黒曜貨500枚を頂いた。ちなみに領地は頂いてないぞ。」


「……まあ、妥当なところだな。銀剣勲章は町の危機を、黄金剣勲章は国の危機を、ミスリル剣勲章は大陸の危機を、オリハルコン剣勲章は世界を救ったものに与えられる勲章だ。もちろん、銀剣勲章も滅多に授与されんがな。」


 成る程、じゃあ俺が授与されたのは一番下ってわけか。まあ、妥当だな。


「……そうなんだな。これで終わりか?もしそうなら、頂いた黒曜貨500枚を冒険者証に入れたい。」


「わかった。ここに置いてくれ。」


────

──翌日、俺は広大な王立魔法学園へ向かった。

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