第24話 海の見える別荘にやって来た
新幹線に乗ると、これから旅に行くんだなと思って、心が躍る。
けど、今の僕はその旅を楽しむ余裕はあまりなかった。
「ねえ、真尋ぉ~。愛するあなたのために、サンドイッチを作って来たの。良かったら食べて?」
「あ、ありがとう、麗美ちゃん」
僕のとなりの席にはスーパー可愛い美少女モデルの麗美ちゃんがいる訳だけど。
その笑顔と愛情が、今は何だか重かった。
ていうか、実際に今、僕はとても重い。
「うん、食べる、食べる~♪」
小柄なのに、胸だけじゃなくお尻も大きなゆかりちゃんが、僕のひざの上に座っているからだ。
「誰もあなたには言ってないわよ。ていうか、行儀が悪いから、自分の席に座りなさい」
今、僕たちは4人掛けのシートに座っている。
2人ずつ隣り合って、向かい合うタイプのだ。
ゆかりちゃんは本来、僕の向かい側の席なのだけど。
「ったく、これだからワガママな女王様は。自分ばかり、良い思いをしようと思っちゃってさ~」
「べ、別にそんなつもりは……ほら、和沙を見習いなさい。良い子に自分の席に座っているでしょ?」
麗美ちゃんは、向かいの席に大人しく座っている和沙ちゃんを見て言う。
「だって、今からそんな風にイチャついてばかりいたら、本番の海の別荘で、真尋くんと楽しめないでしょう?」
彼女の落ち着いた物言いに、他の2人はうっと呻く。
「そ、そうね。ゆかりの胸みたいに、出しゃばらない方が良いわね」
「うるさいよ。麗美は乳は小さいけど、態度だけはデカいからな~」
「だから、そこそこ大きいわよ! 最近は、真尋に揉まれて前よりちょっと大きくなっているし……」
麗美ちゃんは胸を両手で覆い隠しながら、僕の方をちらっ、ちらっと見て来た。
「……そ、そうだね。前よりも、成長していると思うよ」
「きゃっ、ダーリン、うれしい♡」
「出たよ、またダーリンとか。麗美って、見た目が一番大人っぽいけど、実は一番ガキなんじゃないの?」
「良いじゃないですか。可愛らしいお嬢ちゃんってことで」
「か、和沙にまで……真尋、慰めてぇ~」
「あ、あはは……」
◇
潮の香りを感じる。
「「「「わぁ~」」」」
それまでいがみ合っていた3人も、この時ばかりは僕と息を揃えて、目の前の光景に感動していた。
「イエーイ、海だぁ~!」
「良い所ね」
「素敵です」
僕らは早速、その海が見える別荘へとお邪魔した。
「うわ、すご……本当にここ、タダで借りちゃって良いの?」
僕は言う。
「ええ、気兼ねしないで」
「悪いね、麗美さん。君がエロ社長に体を差し出してくれたから……」
「ゆかり、お疲れさま。もう帰って良いわよ」
「冗談だってば~!」
「で、これからどうするんですか? 早速、夏休みの宿題でもします?」
「それは夜にしましょう。せっかく、こんなに良い天気だし……」
麗美ちゃんが、意味ありげに僕の方を見た。
「ダーリンがお待ちかねの……水着ターイム、と行きましょうか♡」
「イエーイ! あたしのボインボインがさらに爆発するぜ~!」
「わ、わたしは大したことないですけど……がんばります」
「あ、う、うん」
「まーくんのモッコリにも、期待しているぜ♪」
「そ、そこは見ないでよ」
「じゃあ、水着に着替えて、ビーチに集合ってことで。真尋は男の子だしパッと準備出来るから、先に行って待っていてちょうだい」
「わ、分かったよ」
「楽しみ?」
麗美ちゃんが笑顔で言う。
「た、楽しみです」
「うわ、出たよ。女王の圧力」
「あなただってあるじゃない、圧力。その胸、邪魔だから切り落としても良い?」
「ちっ、サイコパスめ……和沙、あの女マジでやっちまおうぜ」
「でも、麗美さんがいなかったら、こんな素敵な別荘にお邪魔できなかった訳ですし」
「まあ、そうだね。所詮は、枕◯業ちゃんだけど」
「それ、次に言ったら殺すわよ?」
ニコニコニコッと、麗美ちゃんは変わらず輝かしい笑顔で告げる。
「……あ~! 早くまーくんのデカ◯ンポしゃぶりて~!」
「誤魔化しに僕のことそんな風に使わないでくれ」
出来ることなら、のんびり楽しみたいんだけど……無理かな?
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