十六夜の黒騎士

作者 荒谷拓海

和洋の美味しい要素が入り交じる、出会いと別れの旅路

  • ★★★ Excellent!!!

 物語の舞台となるのは、大きな災厄に見舞われて傷ついた国、大和。

 主人公は桜都キョートで図書館の司書を務める少女、天城司。
 司はいつでもどこにいても図書館の本を閲覧できる能力を持っており、これを活かして「災厄の日」より各地に現れたという塔を調査することになります。
 しかし、司は少し刀が扱えるものの、旅どころか都から出た経験すらありませんでした。
 そんな司に寄り添い護衛として旅をするのが、黒騎士の望月紗夜。
 騎士としての頼もしい強さと、どことなくミステリアスな雰囲気と隠された過去を持つ紗夜。二人は旅の過程で少しずつお互いを分かり合い、認め合ってゆきます。

 本作の特徴の一つとして、舞台の美しさが挙げられます。
 年中桜が咲いている都、年中雪が降り積もる都。美麗な情景の想像をかき立てる土地の描写は旅物語の醍醐味です。

 しかし、旅は美しいばかりでは終わりません。厳しい道も立ちはだかります。
 本作の舞台となった大和は「審判の日」の災厄により多くの人々が傷ついています。二人の訪ねる先も様々な事情を抱えた人々が暮らしており、時には辛い別れも経験しながら旅路は進んでゆきます。

 刀と剣を携えて謎を追いかける、和洋折衷の良質ファンタジーです。

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