第95話 忍び寄る崩壊

【十華】葉隠桜専用スレ【十位】


1:名無しの国民

ここはA級魔法少女葉隠桜の総合スレッドです

雑談・考察等々ご自由にどうぞ

・他の魔法少女の話題は専スレへ

・荒し禁止/スレチ禁止


生中継13:48~『B級:シェイプシフター?』

http:****~


~~~


444 :名無しの国民

ようやく終わったか……


445 :名無しの国民

葉隠さんが生きててホントによかったぁぁ!!


446 :名無しの国民

中継ずっと見てたけど、こっちの寿命が縮まった気がする


447 :名無しの国民

今回かなりギリギリの勝利じゃないか?

怪我も結構酷いしさぁ


448 :名無しの国民

あの魔獣政府発表ではB級らしいけど、どう考えても等級詐欺だろ

真っ当なB級が相手だったら、普通あんなズタボロにはならねぇよ


449 :名無しの国民

葉隠さんかわいそう……


450 :名無しの国民

まあ爪は自分で剥いでたけどな


451 :名無しの国民

>>450

それ以上はいけない

葉隠さんも軽率に自傷すんのやめてくれないかな……


452 :名無しの国民

結局あのおっきい口って何なの?

正直やべえ邪神にしか見えないんだが


453 :名無しの国民

某所の考察では、贄を捧げることで発動する強化スキルって言ってたぞ

契約神がそういう系なのかもな


454 :名無しの国民

葉隠さんは外なる神とでも契約してるんです???大丈夫なの?


455 :名無しの国民

本人はそれなりに幸せそうだからへーきへーき


456 :名無しの国民

契約神と言えばさ、戦闘が始まる前の厳島がかなりヤバい空気だったっぽい

厳島が見える場所に住んでる霊感持ちの知り合いが言うには、大鳥居の辺りに真っ黒な靄が見えたらしい。念の為政府に問い合わせたら、神様同士のちょっとした諍いがあったんだって

これって時間的にどう考えても葉隠さんの契約神のことだよな?


457 :名無しの国民

現世に影響を及ぼすレベルとか、めっちゃ強い神様じゃん。すげえな


458 :名無しの国民

それって絶対気位が高いやつじゃないですかやだー

もしかしてそのストレスの所為で大食いに走っているのでは……?


459 :名無しの国民

おい止めろよ。葉隠さんの可愛らしい趣味に病み属性を付けるな。悲しくなるだろうが


460 :名無しの国民

それにしても、今回の戦いはちょっとした総集編みたいな感じだったな

不謹慎かもしれないけど、以前苦戦した魔獣を瞬殺したシーンとかめっちゃテンションが上がった


461 :名無しの国民

葉隠さんは戦ってる姿が美しすぎてため息が出る

指先の動きだけで背後の魔獣が一瞬で刻まれるとことか、本当に魅せるための戦い方だよな


462 :名無しの国民

終盤の輝く波打ち際の場面ほんと好き。あれの写真があったら言い値で買うわ


463 :名無しの国民

>>462

わかる。映画のワンシーンかと思った


464 :名無しの国民

でもよくよく考えると恐ろしい魔獣だよな。考察班曰く、今まで戦った魔獣や、強く印象に残っているモノが具現化されてるんだろう?ベテランだったら多分詰んでた


465 :名無しの国民

政府のシミュレーターとかで戦った分も出てきたらしいな


466 :名無しの国民

確実にベテランを殺しにきてる《震え声》


467 :名無しの国民

つまり偶然にも、魔法少女歴が短い葉隠さんが最適だったってことになるのか?


468 :名無しの国民

そんなことより、最後の方に出てきた柩パイセンとグロテスク女は一体何なんだよ

あいつらどう見ても魔獣じゃないだろ


469 :名無しの国民

柩さんに関してはほら、前に葉隠さんがインタビューで戦い方を参考にしてるって答えてたから、戦闘動画を何度も見て印象に残ってたんじゃないか?火傷女の方は知らん


470 :名無しの国民

案外政府の中では、秘密裏に人対人の戦闘訓練もしてるのかもね。最近は外国も物騒みたいだし


471 :名無しの国民

ああ、不法入国とか、外国からの鎖国撤回要請とかのニュースが増えたよな。たっく、都合のいい時ばっかりすり寄ってきやがって。こっちは魔獣の対応で手一杯だっつーのに


472 :名無しの国民

これじゃあどっちが地獄なんだかわかんねぇな


473 :名無しの国民

最後に出てきた火傷の子なんだけどさぁ、どことなく朔良紅音に似てない?

使う技も風系統で一緒だし


474 :名無しの国民

は?全然似てねえよ、馬鹿か


475 :名無しの国民

>>473

良いお医者さん紹介しようか?


476 :名無しの国民

この話はやめやめ。レジェンドの話題は高確率で荒れる


477 :名無しの国民

じゃあ流れ変えるわ

今回結構派手に服が破れたけどさ、はっきり言ってあんまりエロくなかったんだが?教えて偉い人


478 :名無しの国民

血みどろのボロボロだったからでは?


479 :名無しの国民

葉隠さんは正直、全く露出のない着物姿の方が色っぽいんだよなぁ


480 :名無しの国民

>>479

いくら積んだらもう一回着てくれると思う?生で見れるならもう破産してもいいや


481 :名無しの国民

俺はフリフリのワンピース姿が見てみたい


482 :名無しの国民

あ、今そういう流れ?

じゃあ俺は――――







◆ ◆ ◆







 とある山中にある建物中で、一人の男が酒を煽っていた。歳はおよそ七十前後だろうか。顔には溝の様に深い皺が刻まれ、髪の毛は一本残らず白く染まっている。だが、その体は異常なほどに鍛え上げられていた。


 手足の筋肉は木の節のように盛り上がり、見るからに硬そうな印象を受ける。そして程よく日に焼けた肌は、男の壮健さを表しているかのようだった。


 男がいる部屋の中をよくよく見てみると、テレビの残骸や、大きな物が叩きつけられた跡など、まるで乱闘があったような有様だ。床には家具の残骸が散乱しており、足の踏み場も無い。


 男はグラスに入っていた酒を飲み干すと、苛立ち交じりにそのグラスを床に叩きつけた。ガシャン、とガラスが割れる音が響く。


――その時、近くの壁に備え付けてあった電話機から、メロディー音が響いた。男が舌打ちをしながら立ち上がり、荒々しく受話器を取り、口を開いた。


「誰だ。急ぎの要件以外は後にしろ」


『はは、思った通り荒れてるねぇ。その様子だと、もしかしてすでに暴れた後かい?』


 受話器越しの声が、揶揄う様に言う。男は酒臭いため息を吐きながら、重々しい声で言った。


「朝倉か。何の用だ」


 電話をかけてきた相手――朝倉は軽い調子で話し始めた。


『友人として君のことが心配になっただけだよ。どうせ君も、あの葉隠桜の中継を見ていたんだろう?』


 朝倉のその言葉に、男の眉間に皺がよった。


「……それがどうした」


『いやはや、流石の君も可愛い娘・・・・の無残な姿は堪えたんじゃないかと思ってね』


――その瞬間男の頭の中に、火傷姿の少女が倒れる姿がフラッシュバックした。

 酒のせいではなく、明確な怒りで手が震える。胸の奥からせり上がってくる吐き気を堪えながら、男は吐き出すように言った。


「黙れ朝倉ァ……!! キサマ縊り殺されたいのかッ……!!」


 ミシっ、と男が持っている受話器が軋む。

 受話器越しに強い怒気を向けられた朝倉は、やれやれと呆れた様に言った。


『はあ、これだから脳筋は困るよ。――で、君はこれからどうするつもりだい、七瀬・・。あの様子だと、葉隠桜――七瀬鶫はもう既に記憶の扉に手をかけている状態だ。千鳥君の方だって、何かきっかけがあればいつ昔のことを思い出しても可笑しくはない。そうなれば必然的に、君が隠したがっている【真実】も遠くない内に明らかになってしまうだろう』


「…………それは」


『これは友人としてではなく、一人の共犯者としての忠告だよ、七瀬』


 そうして朝倉は、諭すような声音で言った。


『君は朔良紅音・・・・の死の真相について、政府にきちんと話をするべきだ。あの子――君の娘・・・が、魔獣と相打ちしたと見せかけて、姿をくらませた件も含めてね』



あとがき――――――☆☆☆

七瀬夜鶴:鶫と千鳥を引き取った資産家の老人。

朝倉:鶫と千鳥の担当医をしている医師。七瀬の古い友人。


次回、朔良紅音の過去と繋がりについて語られます。

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