第7章 - 1 優衣の日記(3)

 1 優衣の日記(3)

 



 ――きっとわたしは もうすぐ死ぬ。 


 ――もうあえない そんなのいやだ。 


 ――りょうちゃん、あいたい。


 ――あいたい。


 ――あいたい。


 ――あいたい。 

 

 薬のせいか? 

 あるいはすでに、書くという状態にはないのだろう。

 それはまさに、必死に書き綴ったという印象そのもの……で。

 

 ――しけん おわったら 病いんきてもらう。 


 ――パパにおねがい 忘れないようにしない と さいきん わすれ。

 

 そんな最後の文章は、途中で、力尽きたように終わっていた。

 そしてそんな優衣の望みも、偶然、涼太によって叶えられる。

 少なくとも試験日の夕方、涼太は病院には来ていたのだから。

 

 ――もうあえない、そんなのいやだ。 


 彼が病院へ駆けつけた時、


 ――りょうちゃん、あいたい。 


 すでに優衣は昏睡状態に陥っていた。


 ――あいたい。 


 だからいくら叫んでも、


 ――あいたい。


 優衣の耳には


 ――あいたい。


 彼の声は届かない。


「優衣! 起きろ! 目を覚ませ!」

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