第88話
「それじゃあ、本日ラスト!!三回目のスキル実技を行うぞ…!!5秒以内にペアを探せ!」
そうこうしているうちに、二回目の制限時間も過ぎてしまった。
結局ここまで俺はスキルも魔法も何も使うことなく、訓練を終えてしまっている。
つ、次こそはちゃんとした訓練が行えると願いたい。
「安藤くん!!僕とペアを組まないかな!!」
俺が三人目のペアを探していると、自信満々な声が背後から聞こえてきた。
見れば、そこにはサッカー部の主将で、女子人気の高い内田が立っていた。
「わかった。組もう」
制限時間的に人を選んでいられないため、俺は内田と組むことにした。
「中級探索者と安藤くんと訓練が出来るなんて光栄だよ!!よろしくね!!」
爽やかなスマイルと浮かべながら、内田が手を差し出してくる。
きゃああと、近くの女子から悲鳴が上がった。
「よ、よろしく…」
俺は若干その迫力のされながら、内田の手を握り返した。
「それじゃあ、早速対戦と行こうか…!スキルは互いに申告制にしないかい?そのほうが戦略性があって楽しいと思うんだ!!」
「別に構わないぞ」
「そうか、よかった!それじゃあ、僕から先にスキルを申告するね!!」
そう言った内田は自信満々に髪の毛をかき上げた後、自らのスキルを申告する。
「僕のスキルは魅了!どんな人間…いや、どんな生物すらも魅了して虜にしてしまう、そんな罪なスキルさ!!」
そう言ってとびきりのイケメンスマイルを浮かべる。
「「「きゃああああ!!!内田くぅううん!!!」」」
内田のスマイルに、周囲で訓練をしていた女子たちが黄色い歓声をあげる。
歓声を受けて、内田は満更でもないと言った感じだ。
「ふふふ…僕のような人間に相応しいようなスキルだとそう思わないかい?安藤くん」
「あぁ…うん」
否定すると周囲の女子たちを敵に回しそうだったため、俺は頷いておく。
「最も僕はこんなスキルなんてなくとも、元から魅力的な人間なんだけどね!!そうだろ、ハニーたち!!」
「「「きゃああああっ!!内田くぅううううううん!!!」」」
「…」
なんだこれ。
俺は一体何を見せられているんだ。
「あぁ、ごめんごめん。つい自分に酔いしれてしまった。それじゃあ、今度は安藤くんがスキルを申告する番だね!!」
俺のジトっとした視線を受け流しながら、内田が俺のスキルを問うてくる。
俺は今日広瀬や宇崎にして見せたように自らのスキルの申告すると同時に内田の目の前で実演してみせた。
「ほう…炎を操るスキル…それが君の力か、安藤くん!」
内田がニヤッと笑う。
「中級探索者だと聞いて期待していたけど…その程度じゃ、僕は破れないよ!!ふふ、僕の無敵のスキルで君を虜にしてあげよう!!」
手をバッと広げてそう宣言する内田。
「わかった。なら、さっさとやろう」
俺はいい加減うんざりしていたため、先を促す。
「ふふ…オーケーオーケー。では、やろうか」
俺と内田は距離を取って向かい合う。
「みて、内田くんだ安藤と戦うみたいよ!」
「ええ、すごい!!見たいみたい!!」
「内田くん頑張って!!」
勝負を始めようとすると、たくさんの女子が内田の名前を聞きつけて俺たちの周りを取り囲んだ。
やりにくい…
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