第69話
「えー、そういうわけで、今日から四ツ井はこのクラスの一員だ。みんな仲良くしてやれよー。それから、わからないことがたくさんあるだろうから、教えてやれなー」
担任教師がそんなこと言ってる間も、四ツ井はじーっと俺のことを見てきている。
間違いない。
あいつはこの間ダンジョンで俺が助けた女探索者だ。
そいつが…俺のクラスに転校?
どんな偶然だよ…
そしてなんで意味ありげな笑みを俺に向かってずっと向けているんだ…?
「あー、それから言い忘れていたけど…四ツ井は、あの四ツ井グループの財閥令嬢さんだからな〜。お前らあんまり無礼とか働くんじゃないぞー」
「「「「ええええええ!?!?」」」」
教師の一言で、ざわめきが教室内に広がった。
どことなく高級感はあったが、まさかあの四ツ井グループのお嬢様だったとは…
四ツ井グループってのは、日本を取り仕切っている巨大財閥の一つで、大企業の半分以上がこのグループに属している。
いわば、日本の中枢とも言える財閥であり、各界に多大な影響力がある。
そんな財閥のお嬢様がどうしてうちのクラスに…?
「すごい…四ツ井グループだって…」
「よ、四ツ井グループってあの四ツ井グループか…!?」
「まじかよ…日本でも最高峰のお嬢様じゃねーか…」
「じょ、上級国民だ…」
「なんか問題とか起こしたら、俺たち消されんじゃね…?」
「や、やばい…緊張してきた…」
四ツ井が巨大財閥の令嬢だと知り、教室内に緊張感が走る。
「よーし、それじゃあ、四ツ井の席を決めるかー…ええと、空いている席は…」
担任教師が、四ツ井の座る席を探して教室内を見渡す。
「先生」
すると、静かに四ツ井が担任を呼んだ。
「はい。なんでしょう」
担任がまるで執事のように丁寧語で対応する。
「私、あの方の隣がいいわ」
四ツ井が教室のある方向を指差しながらそういった。
「「「えっ?」」」
全員がそのある方向…すなわち俺の方を見る。
「彼の隣の席にしてくださらないかしら。先生」
四ツ井が俺を見ながらにっこりと笑う。
俺は先ほど背筋に走った悪寒が、正しかったことを知ることになる。
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