第17話
探索者試験の翌日は平日で、俺は高校へ登校しなくてはならなくなった。
いまだに続けている新聞配達のバイトをこなした俺は、少ない朝食を取り、制服に着替え、鞄を背負ってアパートを出る。
眠い目を擦りながら、いつもの登校路を歩いた。
ダンジョンが出現してから、俺の高校生活もずいぶん様変わりした。
まず、ダンジョンが近すぎるという理由で校舎が移動になった。
それからカリキュラムに、ダンジョンのことを学ぶ授業が組み込まれた。
通称ダンジョン科と呼ばれるその授業では、探索者やモンスターに関する基本的な知識を学んだりする。
あと、スキルを実際に使用して慣らすためのスキル実習なんて授業もある。
ダンジョンが出現してから、社会は変化を余儀なくされた。
教育機関も、ダンジョンからもたらされる資源の重要性が認知されるに従って、その形態を日々変化させている。
ダンジョン。
スキル。
モンスター。
いつしか世間は、それらを中心に回るようになっていた。
二十分程度の登校路を歩いて、高校にたどり着いた。
廊下を歩いて教室へとたどり着く。
「昨日さー、スキルの新しい使い方考えててさー」
「へええ。どんなの?」
「えーっとねー」
ガラガラとドアを開けて中に入ったのだが、誰も俺に興味を示さない。
以前なら必ず数人の生徒が、俺に悪口を言ってきただろうに。
ダンジョンが地上に出現してから、クラスメイトたちはすっかりダンジョンに夢中になり、俺をいじめることなんて忘れてしまったようだ。
現在彼らが熱をあげていることといえば、スキルや探索者の情報であり、俺などすっかり眼中になくなった。
これは非常にありがたいことだ。
おかげで、俺は以前に比べてだいぶ快適な高校生活を送っている。
……だが。
そんな現在でも、いまだ俺に執着を抱いている連中がいないこともない。
「よお、乞食やろう!!今朝の調子はどうだ?」
「朝食教えてみろ!!何食べたんだ?腐りかけの生ゴミとかか?」
「ギャハハ。こいつならあり得るぜ」
下衆な笑みを浮かべながら、三人組の男が近づいてきた。
チビ。
デブ。
ノッポ。
しつこい三人組が、今日も今日とて、朝っぱらから俺にちょっかいをかけてきた。
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