第114話 奥の手
あらすじ 人質ならぬ、ちん質。
「短絡的、まるで理解していない」
サザンカは鼻で笑った。
「知りたがっていることをサラサラと教えてさしあげるほど、わたくしは親切ではありませんわ! さあ、手を退きなさい?」
「……エイデン」
「こちらが知る限りでは……」
僕のちんちんを握られたことが彼らには困るようで、冷気を放つ肉体を持つ男たちは構えた銃口を上に向ける。話がよくわからないけど、なんだか情けない感じだ。
「ふふ」
サザンカは微笑む。
「いや! 焼き切って大丈夫ならば、焼き切って見せればいい! すぐさまそうしないのは、そちらにとってもリスクがあるからだ!」
エイデンはハッとして再び銃を突きつけた。
「なるほど」
アレックスも同調した。
「……え」
あれ?
僕のちんちんが見捨てられたぞ。
「あなた方がその態度では
サザンカも同意した。
「やめ」
「男性としての人生は諦めてくださいまし」
ちんちんに熱が走る。
反射的に奥の手を切ったのは同時だった。
忍法。泥状便。
「!」
サザンカの腹に触れた瞬間、その表情から余裕が失われるのがわかった。奥の手、あまり使いたくない。正直、この忍法を思いついた僕の人格が疑われるからだ。
「
サザンカはうずくまった。
よく耐えてる。
腸内にある便に体内の水分を流し一気に下痢に変える忍法だ。腸内が空でない限りは間違いなくダメージ、急激な変化は我慢するタイミングさえ与えない。ママさんの夫に見つかってボコボコに殴られたときに使ったときは、夫婦が離婚にいたる惨事を招いた。
漏らさなかっただけ、偉い。
「悪の根源とか言われても」
否定しづらい。
この忍法が奥の手な時点で悪の自覚はある。
「まず僕の意思を無視して、勝手に奪い合いしてるのはあんたらだ。抵抗されないと思ってたなら、それこそ甘いだろ。ちんちん切られそうになって大人しくなんてしないぞ」
ただ、こっちだって言い分ぐらいはある。
「なにをやったんだ……」
「わかりません」
見ると、男たちは状況が理解できないようで、僕にビビっていた。魔女がいきなり行動不能になったのだから警戒するだろう。ただ、この忍法には決定的な弱点がある。
僕もおなかが痛くなることだ。
忍法を使う修行はイメージが大切なのだけど、相手のおなかを痛くしようとすると、自分も痛くなる弊害を消すことが出来ていない。どんな忍法にもよくあることではあるらしいが。
カッコ悪い。
「……どうした、かかってこい」
ヤバい。トイレ行きたい。
忍魂を生み出して割と腸内は空にしてあったんだけど、サタカが中に出したから、いつもと消化具合が違ってたぶん残ってたんだと思う。あいつホントに許さない。
「かかってこないなら……っ!」
僕は男たちに向かって突進する。
銃が構えられる。
すぐさま方向転換して逃げ出した。
「逃げた!?」
「追いかけるぞ!」
「……」
舐めるな。
トイレを求める人間は必死だぞ。
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