第54話 中学生男子なら簡単なはず
あらすじ カンダ・シンは見られている。
薬の効き目が出るまで四、五時間。
「大事なことは肉体のコントロールを通じて魂を感じることなの、です……へへ。忍魂から忍法を扱うための忍者の修行もそういうことで、アダルト男優のように勃起を自在に操ることが、忍法トランスセクシャルの影響下で男を優先的に選びうることに繋がるの、です」
オオクス博士はそう言った。
信じるも信じないも、ともかく僕としては男に戻ることが先だ。忍魂も忍法もよくわからないし、使える気もしない。それならばちんちんをコントロールする方が具体的ではあった。
自分の男の身体をイメージする。
「射精に至らない程度に常にいやらしいことを考えるの、です……へへ、中学生男子なら簡単なはず、でしょう? エッチ男子になるの、です」
嫌になるぐらい具体的なアドバイス。
「……」
床に寝るのが痛いと言ったら送られてきた寝袋の上に横になり、薬の効き目を待ちながら、同時にいやらしいことを考えようとする。
くのいち。
初体験。
トイレで襲われた日。
言われて頭に浮かぶのは直近の経験ばかり。はっきり言って嫌な思い出だ。でも、わかっている。嫌だったけど、気持ちよくはなっていた。僕の男の部分はそれを悦んでいた。
認めてはいる。
あの大きな、なにもかもが大きな女の身体に押しつぶされながら、嬉しいとさえ感じてた。それから視界の中にくのいちが入るたびに、心のどこかで期待してた。襲ってくれることを。
「くそ……」
情けない。認めたくない。
でも、僕のお腹の底の方で渦巻く感覚。
男の魂を注ぎ込まれた。
脳がなければ魂に人格はない。願い、男たちの願い。それが僕の中に渦巻いている。全員が全員そうではないにしても、男ならば女とセックスをしたいという願いがある。それが僕の思考に引っ張られるように蠢いていた。
ちんちんになろうとしている。
薬を飲んだことでそう思い込んでいるだけかもしれない。ただ、女の僕の身体は、くのいちに犯された部分が裏返るように外に飛び出したがっていると感じている。あの、大きなお尻に。
「大丈夫?」
「へ?」
ふと気付くと忍者がいた。
「どこから……」
それはくのいちよりしっかりと忍者だった。和風の羽織で、鎖帷子が見えて、小手をしていて、でもスカート丈が短い。女同士だと思ってるからか、しゃがんでパンツが見えてる。
「汗がすごいよ? 意識はハッキリしてる?」
「あなたは?」
白いパンツ。
どくんと、血が流れ込もうとしているのがわかった。それはいやらしい思考で、ちんちんの形をしていた。見えない男に血が注がれていく。
「あたしはロッカク・タカセ! あんたもクノ・イチにされたのね? それで……こんな場所に捕まって……何年かの間に、すっかりやり方がヘンタイの度を増してる! 許せない!」
「……」
パンツに汗が滲んでる。
「助けてあげる! 安心して!」
タカセは僕を軽々と抱えて立ち上がった。
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