第21話 ニュークリアボムボディ
あらすじ スキンシップが恋愛の第一歩。
「よし、そこのボディソープを手につけて泡立ててわたしの身体を洗ってくれ。シンに触られると思うと、もうたまらないが、我慢しよう」
「ありがとう? ございます」
くのいちがなにを言ってるのかわからない。
だが、洗うという行為ならば僕にもできるだろう。問題は身長がやたらと高いことだ。腰に手を当て胸を突き出して堂々と立たれても、手を伸ばして肩に届くかどうか。
「くのいちさんは、背、いくつですか」
改めて相手を見上げる。
「2メートルはいかないはずだ」
「いくつぐらいまで背、伸びてました?」
ボディソープのボトルに屈み、ポンプを押してたっぷりと出して手で泡立てる。洗うと簡単に考えたが、これは大仕事かもしれない。
130センチちょっとの僕と比べればそりゃ高い。
それだけじゃなく、抱っこされなければ、ほとんど僕の目線を覆って顔が見えないのだ。愛情表現が胸に顔を押しつけるになるのも、ある程度は仕方のないことかもしれない。
そうしなければ目も合わせられないのだ。
「年齢を聞くのは失礼では?」
なんか照れたような声が降ってきた。
「あの……二十八歳なのは知ってますよ?」
「先月も伸びていた」
少し小声だった。
「ああ、人間じゃなかったりします?」
反射的に言ってしまった。
「人間だが!?」
そして傷ついた感じの声が返ってくる。
「じょ、冗談ですけど、あのスミレって人が魔女は魔物と交わってるって言ってましたから……そういうことなのかな、と」
しかし、会話しながら胸しか見えない。あっちからも僕の顔が見えてないってことだ。下手すれば身体も隠れてるかも。泡立てた手をどこに向けたものか、とりあえずバキバキに割れた腹筋に触ってみる。
忍者になると割れるなら僕も頑張ろう。
「ひゃっ」
「あ、冷たかったですか?」
温泉シャワーは割と熱いから相対的に。
「急に触るのか!?」
「ええ? くのいちさんがそれ言います? 僕、大体が急に触られてますけど……じゃ、次からは触る前に、言います。とりあえずこのまま手の届くお腹から洗いますから」
「なぜ、おっぱいに触らない!」
なんか怒っていた。
「……普通、触らないでしょう」
「目の前にあれば普通は触りたいはずだ!」
くのいちは断言した。
「……」
いずれ命令されるだろうと思っていた。
そのときは応じる覚悟だった。それはそれとして、自分からは触らない。それは僕が守るべき一線だと思う。いや、触ってみたくないとは言わない。そこまでは達観してない。
中学生男子として普通に興味はある。
冷めた性格だと言われるが僕は健全だ。
ただ、もう押しつけられて押しつぶされて、挟まれて揉みくちゃにされて、なんかそういう対象じゃない気がしてる。大きすぎるのだ。バケモノの類いになってる。夢が壊れてる。
「なぜ黙る!」
だが、くのいちに僕の心はわからない。
「あれか!? 照れているのか!? それは、わからないでもない。このバスト120、ウェスト74、ヒップ116のニュークリアボムボディを目の前にしては、仕方がないか!」
「……」
ウェストはもうちょっと太い気がする。
筋肉バキバキだし。
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