第2話 大人なんて最低
あらすじ くのいちはショタコンでスエゼン。
汚された。
「ひどいよ。こんなの……」
散らばった服をかき集めて、着る。
「必要なことだった」
くのいちは僕のスマホ片手に言う。
「護衛対象が本物であるという証拠を、わたしの身体に刻み込んでおくことで、変装やすり替えと言った事態に対処できる。君の身体のすみずみまでを味わったことは必ず生きる」
話にならなかった。
肌がツヤツヤしてて薄いスーツに乳首が浮いてる。気持ちよくなってる。よく知らないけど、変態ってヤツだ。間違いない。小学校のときの副担任がそれでクビになってクラスメイトの女子が転校したときにそんなことを母さんが言ってた。
大人なんて最低だ。
「警察、呼びます。逮捕してもらいます」
このくのいちは悪党だ。
「許可は得ている」
「許可? だれの」
「はーい」
少し離れた場所で母さんが挙手していた。
「息子の初体験を見られるなんて」
「みてたの!?」
僕は信じられなかった。
トイレから逃げ出そうとして押し倒された生々しい痕跡が玄関からまっすぐの廊下に残っている。息子が泣きながら汚される様をなにも言わずに見ている実の親がいるなんて許されていいのだろうか。いや、いいはずがない。
「なんで助けてくれなかったの」
「ごめん。母さんが悪いの」
あまりにも軽い謝罪だった。
「むろん、そうだ」
くのいちは首肯する。
「どういうこと?」
「説明すると長いんだけど」
本当に長い話で、母さんはとくに話が脱線しやすい人なのでいちいち軌道修正しながら小一時間説明されたところによると、僕が昨年、学校帰りに交通事故に遭った件が問題だったらしい。
事故は警察に届け出のない実質的な轢き逃げ。
だが、轢き逃げ犯は医者だったらしく独自に手術して誤魔化した。そのことを母さんに口止めさせるために大金も支払った。事件の隠ぺいに加担したのだ。そして、同時に僕の身体になにかを隠していた。
「なにを、隠されたんですか?」
よくわからない話だが、僕の不安はそこだ。
「わからない」
くのいちは首を振った。
「わからないが、わかっていることは、それを狙って動く組織があるということだ。そしてその組織と戦っているのがわたしたち忍者だ」
「……つまり」
僕は混乱しながら考える。
自分を守るためには自分で考えなきゃいけない。
「くのいちさんは、戦っている組織の動きで、僕が狙われていることを把握して、助けにきてくれた……ってことですか?」
いい人、なのか?
いや、いい人はあんなことしないが。
「助ける気になったのは、好みの少年だからだ」
「へ?」
聞き間違い?
「奪われるより先に殺すことは考えた」
ではないらしい。
「……ああ」
大人なんてやっぱり最低だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます