神代の宴

 水蒸気が噴射する巨大な格納庫内。

 その格納庫に2台の戦闘機らしき機体が並んでいる。

 その戦闘機まるで古代に大空を征していた巨大生物のような形容し難い形状、ブリキの色で至るところに、戦闘の痕だろうか、直したキズがところどころに浮かんでいる。

 そして、その機体から二人の男性の声が木霊した。

「タケノミカズチ、タケノミナカタ出ます!」

 そう二人が言うと、格納庫の扉が怪物の口のようにゆっくりと開いていく。

 エンジン音らしき轟音が格納庫に響き渡る。

 そして、その戦闘機の操縦席にそれぞれ男性が一人ずつ座っていた。

「ミナカタ、俺にまだ勝つつもりか?」

「今度こそ、兄者には負けないっすよ」


 通信機から漏れる二人のやり取りを軍艦の室内の館長席であろう椅子に座る軍服の初老の男性が頬杖つきながら聞いていた。

「あの二人、本当に大丈夫なのかねぇ・・・」

 そう言うと、初老の男性の後ろに立つ女性が言葉を発した。

「ニニギ様、それに関してですが、あの二人では心配なご様子ならば、私も出陣いたしますが」

 館長席に座るニニギと呼ばれた初老の男性のすぐ後ろ立つショートヘアの女性だった。

「アメノウズメ、ワシは任務に関して心配しているのではない。あの二人の今後の心配をしていただけだ。お前は出なくても構わん」

 アメノウズメと呼ばれた女性は、清楚な軍服に頭に特殊な形のかんざしを付けており、顔は無表情で知的な感じだが、幼い中に大人の色気を感じる雰囲気を醸し出していた。

「アマテラス様の指示通りで構わん。そして、アメノウズメ、ワシにそんなに気を使わなくても構わん」

 少し強面だが、優しそうな笑みで後ろに立つアメノウズメに笑いかけた。

 アメノウズメは無表情のまま、ニニギに喋りかける。

「かしこまりました。ですが、ニニギ様は館長としての権威をもう少し把握していただく必要があります。わたくしでお力添えできることならばなんありと」

 アメノウズメは無表情のままそうつぶやくと、無線機から2つのエンジン音が鳴り響いた。

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神威戦記 杏忍 東風 @annin-tofu

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