幻の酒
紅の、とろりとした酒を喉に流す。
希少な果実から作られるそれは霊薬とさえ呼ばれる品だ。不老不死を与えるとも、全ての叡智を与えるとも言われている。
その為かこれを手に入れるための争いが絶えない。所詮はただの酒だと言うのに。
外から慌ただしい足音が聞こえる。やっと一息吐いたところだと言うのに忙しない。
不老も叡智もただの研鑽の賜物だと言うのに、なぜ希少なだけの酒にそんな効果があると思うのか。それとも見下していた私の功績をそんなに認めたくないのか。
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