出会い
「どうした?」
不思議そうに私を見つめている。私は、現実に無理やりもどし、
「すいません。おじゃまして」
「いやいや、全然いいよ。逆に初めてのお客さんだから、聞いて言って欲しい。いいかな?」
まさかのお願いに知らぬ間に私は、うなづいていた。
「ありがとね、あ、僕は、3年の道橋空です。あ、名前は?」
「あ、2年の桃田星です。」
ぎこちない空気が私たち2人をを包む。私、Theきまづいみたいな空気感、慣れてないんだよなぁ。すぐ逃げ出したくなる。
「星ちゃんって言うんだ。かわいい名前」
えー!こういう人ってこの時代にいるの!?いや、この時空に、この世界にいたんだ!!照れる。普通に照れる。顔赤いよ、絶対。私は、笑顔でお辞儀することしかできなかった。
「僕のことは、空とでも呼んで」
そのキラキラの笑顔は、太陽と呼ぶよりは、三日月の光の輝きの方が近かった。
「空先輩は、どういう歌を弾くんですか?」
「こういう時って、洋楽とかって言う方がかっこいいんだろうけど、最近の曲が多いかな」
「分かります!私もです。でもミーハーとか言われて、あんまり好きとか言えなくて」
「めっちゃ分かる!ミーハーって言われたくないよね!洋楽とかKPOPとか好きな人は特別なのかよ!ってマジで言いたい!」
その薄めでちょうどいい綺麗な唇から想像出来ない言葉に思わず笑ってしまった。空先輩は、不思議そうに私を見ている。
「空先輩から、想像出来ない言葉が出てきたから、思わず」
「そういう事ね。まぁ、笑ってくれたから、良かった。さっき暗かったから。なんかあったの?話なら、聞くよ」
私は、まさかの言葉にびっくりした。茶色く大きな瞳が私を見透かしているようで、悩んでたことを全て話してしまった。まだ、会って5分も経ってない彼に話すなんて、おかしい事だと思ったが、私は、なぜだか彼に聞いてもらいたかった。そして、彼に話すと自然と安心した。
「うーん。そういう事ね。こういう時って、自分の正直な気持ちを伝えたらって言うのがいいのかもしれないけど、俺だったら、相手のこともしっかり聞いて、自分のことも聞いてもらう。ちょっと無理して、合わせるのもいいんじゃない。世界が広がる感じがして」
彼の言葉は、心にストレートに届いた。早く恋と花と話したいと思った。
空先輩は、横に立たせていたギターを持って、弾き始めた。official髭男dismの『pretender』だった。こんな難しい歌を彼は、優しく儚く歌った。
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