第78話「第二部までの登場人物紹介」

――悪神 ノワ


 長い黒髪の少女。

 黒いドレスを着ていることから、ケインには近所のお子様だと思われていたようだ。

 ケインにノワちゃんとあだ名を付けてもらって、それが名も無き神であった彼女の名前となった。

 見かけは子供だが、魔族たちに祀られた古き神であるノワは、善神アルテナと違って実際に顕現していることからもわかるように強い神力を持っている。

 ケインの願いのままに、ケインの娘となった。


――ケインのペット


 白いロバのヒーホー。


 ヒーホーヒーホー鳴くので、ノワちゃんにヒーホーと名付けられた。

 いつも飼葉を食べてのんびり過ごしている。

 楽できるときは全力で楽をして、楽しむときは楽しみ、やるときはやる性格。

 ここぞというときは、天馬ペガサスになって飛べる。


――ギルドの子供たち


 スリム 十四歳。


 黒髪の少年。剣士の才能を持つ。

 孤児院の子供たちのリーダーのキッドより一年年長だが、そういう時期のせいか斜に構えたところがあり、影のナンバーツーを自認してキッドを立てている。

 キッドよりも長身で体格に恵まれている。

 騎士を目指しているため、騎士見習いの試験を受けるつもりである。


 トット 十一歳


 のんびり屋で実直な性格の子供。

 こう見えて、力は人一倍ある。


――ランダル家


 カスター・ランダル 二十二歳


 ランダル家長子。傲慢な貴族の若者。

 生まれつき考えが浅く、粗暴な性格であった。

 至らない点を父親のランダル伯爵に叱られ続けて、性格がねじ曲がる。

 父親が優秀な弟のキッドを後継者に据えようとしていると誤解して、病に伏したのをきっかけに幽閉してお家騒動を起こしてしまう。


 家令フォルス 二百三十歳


 カスターを誑かして、家令に成り上がりランダル伯爵を幽閉させて、カスターを領主代行に立ててランダル家を乗っ取った陰謀家。

 その正体は、ケイン殺害を狙う魔王軍のナンバーツー、幻魔将フォルネウスであった。


 レオノーラ 二十六歳


 栗毛色の長い髪の女騎士

 ランダル家の庶子であったキッドの護衛騎士として、陰ながら若様の成長を見守っている。

 騎士としては乗馬戦闘が得意なのだが、キッドのいる孤児院と領主の館を早馬で移動する以外に、あんまりその才能は生かせていない。


 ランダル伯爵 六十三歳


 北にモンスターの巣窟であるシデ山を抱え、難治と呼ばれるランダル地方を、善政をしいて見事に治めていた名君。

 年老いて病い倒れ(家令フォルスによって毒を盛られていた)、息子のカスターに幽閉される。

 領主としての能力は高かったが、最後の最後で後継者の育成に失敗する。名君にはよくある失敗のパターンだった。

 カスターの教育に関しては、父親としてではなく領主として厳しく当たりすぎてしまったのが裏目に出たと反省してる。


 キッド・ランダル 十二歳


 才気あふれる孤児院のリーダーキッドは、ランダル家の庶子だった。

 家のことがあるので、目立たないようにエルンの街でケインさんと同じように冒険者として一生を過ごすつもりだった。

 しかし、カスターの自滅をきっかけにランダル家の当主となる。

 今後はケインさんを亜父として見習って、より良き領主となれるよう仕事をこなしていこうとしている。


――魔王と配下の八魔将


 魔王ダスタード


 智謀の主にして、魔族の王。

 怪しく漆黒の鎧を身に着けて、漆黒のマントをなびかせた魔族の男で、頭に悪魔の角が生えているぐらいで、その姿はむしろ人型に近い。

 魔王としての装飾は、頭に冠を戴いている程度で質実剛健を重んじる。

 剣姫の圧倒的な力に恐れをなして徹底的に逃げ隠れているが、だからこそ手強いと魔女マヤが恐れた相手でもあった。

 アナ姫に一瞬で殺される。


 獣魔将テトラ(ケインの使い魔テトラ)


 虎人族ワータイガーの村に生まれた呪われし獣魔。

 村を人間の兵士に滅ぼされて、獣魔としての魔力に目覚めて血塗られた烈爪れっそうと呼ばれるようになる。

 その虎のたてがみは、赤黒い返り血で汚れているが、ケインによって清められもともと白さを取り戻しもふもふになった。

 そのときに地のような赤い瞳も、澄んだ淡い緑に変化。

 外見上、モンスターとは見られなくなる。

 母親から白虎人と呼ばれる特別力の強い種族の血を引いている。


 幻魔将フォルネウス


 人間に化ける魔術を使い、人の心を幻惑する悪魔。

 その姿は変幻自在で、嘘か誠かフォルネウス自身も元の姿を忘れてしまったようである。

 人に化けたときは、美形だがどことなく不気味で目付きの悪い男に変わる。

 その瞳と言葉は、心に隙がある人間をそそのかして凶行へと駆り立てる。

 フォルネウスの策謀が原因で滅びた王国も多い。

 アナ姫に一瞬で殺される。


 妖魔将グラゴロ


 廃地の隠しダンジョンの地下三階までを統括していたハイオークの族長。

 オーク一万匹につき一体生まれるオークの上位種ハイオーク。

 そのハイオークの中でも選りすぐりの王者であり、オークやゴブリンなどの妖魔部隊を率いて魔王軍の幹部となった。

 体付きは巨体のオークキングなどに比べると小さめだが、遜色ない戦闘力に加えて妖魔でありながら生産管理ができる高い知性と付与魔法の力まで兼ね備えた、隠しダンジョンの要的存在であった。

 アナ姫に一瞬で殺される。


 炎魔将ダルフリード


 全身が狂乱の炎に覆われている、全てを焼き尽くす炎の魔人

 元は精霊使いのエルフであったが闇炎の妖魔に魅入られて仲間のエルフを殺し、古の森を焼いて自らも焼け死んで、変わり果てた魔人へと変貌した。

 炎と氷で何かと相性が悪いのか、氷魔将アイズマンといつもぶつかり合ってばかりいたが、最後は仲良く一緒に。

 アナ姫に一瞬で殺される。


 氷魔将アイズマン


 その質は冷酷非情、全てを凍り尽くす氷の魔人。

 古王国アルドアの宮廷魔術師であり、壊王ギルバーンの腹心として政敵を含めて自国民を一万人虐殺。

 クーデターが起きて国が滅びた際に処刑されるも、絶対零度の力をもつ氷の魔人として転生してさらに冒険者を一万人殺し尽くした。

 アナ姫に一瞬で殺される。


 影魔将キルヒル


 影魔族の長。

 魔王軍の情報収集・懲罰を目的とする影魔族を率いる闇の暗殺者であった。

 身体に常に闇をまとわりつかせて、闇から闇へと音もなく移動することを得意とし、決して人前に姿を見せないで仕事をこなす。

 その姿を見たのは、魔王のみであると噂されていた。

 アナ姫に一瞬で殺される。


 剛魔将ギルメス


 首なし騎士デュラハン。

 生前はガーランド王国の騎士であり、陰謀によって王より誅滅され、それを恨んでデュラハンとして転生した。

 死霊の騎士の軍団を率い、魔王の近衛騎士隊長として中核戦力となって活躍していた。

 アナ姫に一瞬で殺される。


 冥魔将アバドーン


 魔人やアンデッドを作り出すことに長けた、老練なるネクロマンサー。

 元は古王国ドーマの敬虔な聖者であり、罪深き者を断罪するうち、全ての人間の本質は悪であると悟り、悪神を崇拝するネクロマンサーとなった。

 力では他の魔将に少し劣るものの、魔術儀式に対する知識と情熱にかけては右に出るものはいない。

 魔王軍の魔将となっているもので、元人間だった魔人を作り出したのは全てアバドーンである。

 研究の末に不完全な不死に力を手に入れたが、その老いた肉体は醜く朽ちつつあるので、常に仮面をかぶっている。

 悪神復活計画の中心であり、隠しダンジョンを使った儀式を統括していた。

 魔王軍全てを生贄に使った儀式の最後の仕上げに、自分をアナ姫に殺させようとしたが、マヤに阻止されたので自殺した。

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