桜#3

 学校に行き嫌がらせを受け図書館に行き勉強をして帰るという大岩の日常にすっかり真凜は入り込んでいった。


 最近では帰りの電車と桜乱通りで2人は当然のように雑談するようになっていた。


「私はね、大岩が言うほど人と仲良くするってのは悪いことじゃないと思ってるよ」


 桜乱通りを歩いていると、いつもの制服の上に灰色のコートを被っているのにスカートは相変わらず短いという支離滅裂な服装をした真凜がそう言った。


「結託して人を乏しめるのがいい事だと?」

「いやいや、もちろん篠原ちゃん達がしてるのはいけないことだけど、そうじゃなくて誰かと仲良くなりたい。繋がりを大切にって気持ちは大岩が思うほどつまらない事じゃないってこと」


 真凜は普段、というか以前までは篠原の事を下の名前で花玲ちゃんと呼んでいたので篠原呼びが気になった。


「わからない。結局ひとりじゃ不安だから群れて安心してるだけじゃないか」

「それってそんなに悪いこと?」

「悪くは無い、だが弱い。そして弱い奴は流され悪さをする」


 真凜は少し、悲しい顔をした。


「それでいうと大岩は強いんだね」

「あぁ、俺は強い」


 真凜は目を少し細め笑窪を作り口を三日月の形にして、笑った。

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