第14話
家に戻ってきたあたしはすぐに心霊系雑誌を広げた。
明日出現させる幽霊をこれから吟味するのだ。
「村に伝わる都市伝説とか、トンネルの中の幽霊とかも面白いけど、やっぱり学校を舞台にしなきゃだよねぇ」
なにせ幽霊を出現させる場所は学校なのだ。
学校にまつわる幽霊を探したほうがいいに決まってる。
「あ、そうだ! 学校といえば七不思議じゃん!」
ふと、小学生の頃流行った学校の七不思議のことを思い出して、メモとペンを取り出した。
学校によって七不思議の内容はちょっとずつ異なっていると聞いたことがある。
あたしが通っていた小学校での七不思議をメモ帳に書き出していくことにした。
ひとつめ、音楽室から聞こえてくるピアノの音。
これは放課後、誰もいないハズの音楽室からピアノの音が聞こえてくるという七不思議だ。
中学生なった今なら、ピアノの中にネズミが入り込んで走り回っていたのだとわかっている。
でも、小学校の頃は本当に怖い噂のひとつだった。
ふたつめ、階段の数が変わる。
これは13階段の噂だ。
普段は12段しかないのに、放課後忘れ物を取りに1人で教師へ向かうと一段増えているという。
そしてそれは黄泉の国へとつながっているのだ。
「う~ん……怖いのは怖いけれど、中学生なんだから少しずつ内容を変えてみようかな」
たとえば、ピアノの音が鳴る時に黒いモヤがピアノを引いているとか。
そう考えて、あたしはピアノの幽霊で画像を検索した。
可愛いイラストや、作り物の写真が出てくる中で、あたしは手だけが写された写真を見つけた。
鍵盤に置かれた手は青白く、これが空中に浮いてピアノを弾いているところを想像したのだ。
頭の中で想像するだけで十分に怖い!
「よし、明日はこれに決まり!」
あたしは手の写真をスクリーンショットに収めた。
「次はこの手の持ち主ついて詳細を考えておかなきゃね」
☆☆☆
中学校の音楽室は渡り廊下を渡った別館にあった。
1階が広い体育館で、2階が音楽室になっている。
昼休憩中あたしは音楽室に誰もいないのを見計らい、そっと入り込んだ。
入り口正面には大きなグランドピアノが置かれていて、その前でスマホを取り出す。
昨日選んでおいた写真を《具現化アプリ》にアップロードする。
「時間はちょっと長めにしようから。もしかしたら、音楽授業が中止になっちゃうかもね」
呟き、クスクス笑う。
設定時間は5時間にしておいた。
これなら夕方まで誰が来ても怪奇現象を目撃することになる。
あたしはピアノほ前に現れた青白い手を確認し、そっほほえんだのだった。
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