第78話元たちはスマホ購入のため小町に  養母晃子の殺害

翌日の朝食後、元はスマホを購入するために、鎌倉の小町通りに。

春麗と美由紀、奈穂美は当然のごとく、同行する。

スマホショップでは、スムーズに購入が進み、元もようやくスマホを持つ身になった。

そして、もの珍しそうにスマホをいじる元に、様々な声が飛ぶ。


春麗

「マジに、混乱している」

美由紀

「さっさと全員につなぎなさい」

奈穂美

「モタモタしない、私がやろうか?」


そう言われると、元はどうしようもない。

「はい」と、スマホを素直に奈穂美に渡してしまう。


春麗

「つなぐのは、私と美由紀ちゃん、奈穂美ちゃん」

「それから、マルコ神父とシスター・アンジェラ」

美由紀

「マスターと中村さん、杉本さんにも」

奈穂美

「深沢先生はダメ、最初から着信拒否にしておく」


「着信拒否」ができることを知り、元は考えた。

「パリにいる二人には、絶対に知らせない」

「その二つの番号も着信拒否だ」



さて、スマホショップを出た一行は、のんびりと小町通りを散歩。

元も、文句は言わずに、女子たちと歩き、殊勝にもマルコ神父とシスター・アンジェラに、お土産としてラスクを買っている。


また、昼食は、春麗が予約した海鮮料理。

ここでも、元は我がままを言わず、ほぼ完食となった。



さて、元が出かけた午前9時半、教会に中村が訪れると、マルコ神父とシスター・アンジェラが厳しい顔で、応接室に迎え入れた。


マルコ神父

「パリの教会からの緊急連絡です」

「田中晃子が、殺されました」


中村の顔も引き締まる。

「犯人と、その事情は?」


シスター・アンジェラ

「田中晃子の浮気相手、某有名指揮者と痴話喧嘩」

「某有名指揮者が雇った、パリのヤクザに、喉を切られたとか」


中村

「夫の田中は?葬儀もあるでしょうが」


マルコ神父

「今はまだ急報の段階ですが」

「パリでは別居していたらしくて」

「夫は現場に来ていないとか、よくわかりません」

「晃子は、最近は、その指揮者と暮らしていたらしい」


中村は、「少しお待ちください」と席を立ち、誰かに連絡、すぐに戻って来た。

「田中晃子の実家を探らせます」

「鎌倉まで来ることもないでしょうが」


マルコ神父は中村の顔を見た。

「日本の極道とパリの極道の争いが先になるのでしょうか」

中村

「はい、なかなか決着はつかないでしょうが」

「田中晃子の実家、極道の菊池も、おさまらないでしょう」

「そもそも、こっちにリスクがあるとしたら、元君の生命保険の受取人が、田中晃子だったので」

「何かのタイミングで、無理やりに殺しに来るかな、とも思っていました」

「その証券も、例の書棚に入っていました」

「それも、今回の事件で、様相が変わりました」

「先行きが、まだ見えません」


シスター・アンジェラは深刻な顔。

「山岡さんと、本多さんの、実のご両親」

「それから、おばあ様への連絡もしておいたほうが」


マルコ神父は、深く頷いた。

「私が責任を持ちます、お任せください」

マルコ神父は、早速立ちあがり、電話を始めている。

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