第103話

「アリー、攻撃魔法の練習で、リズに嫌われたくないんだよ。解るだろ。」


「リックとダンは、練習を手伝うのよ。同じじゃないの?」


「お父様、攻撃魔法を教えてもらって、嫌う事はないですよ。何故そう思うのですか?」


「攻撃魔法で、怪我でもしたらと思うとね。ほら、痛い思いをさせてしまうと、嫌われそうだし。」と目を逸らしている。


「大丈夫です。リーフ再生も使えますし、スディフェン・シールド防御結界ウィンディ・シールド風力結界も、使えます。

攻撃から、身を守る事は、出来るのです。


ただ、人を傷つけるような、攻撃魔法は、嫌いだし、練習を、したくなかっただけです。」


「リズは、アトウッドキャクストン国の魔法学園で、魔法の実技の時に、攻撃の的にされ掛かっていたよね。それでも、反撃で、攻撃魔法を使わなかったよね。


攻撃魔法を覚える目的は、魔物に対しての、対応からだよ。」


「ダン、人を攻撃魔法の的とは、一体、アトウッドキャクストン国の魔法学園は、どうなっているんだ!」


「まあ、的とは言わないけれど、技と当たる様に、魔法を使う、技術を持っている事を、見せつけていたよ。」


「もし、魔法学校で、その様な事が、行われたら、担当大臣の責任問題だな。

少しでも、手元が狂い、人が、怪我を、しても、大変な騒ぎになるのに。」


「父上、だから、リズが怪我する事はないでしょう。」


「アレックス、正直に言えば、教えるの苦手な事をね。」とアレクサンドラが、口角を上げなら、言う。


「アリー、子供達の前だ、その様な事を言うな、儂の威厳がなくなってしまう。」と下を向く。


「お父様、お願いです。教えてください。魔法以外もお話をしたいです。」と頭を下げた。


「リズ、頭を下げる事は、無い、家族なのだから。

儂等に気を使わずとも良い。今まで、暮らしていた様に。育ての親と同じ様にして貰いたいのだ。時間は、掛かるかも知れぬが、畏まらなくても良いのだぞ。」


「父上、折角、練習場にいるのだから、僕達の攻撃魔法の練習を見せましょう。

ダン、準備しよう。」


「兄上、僕は、左の方から、いいですか?」


「ああ、あの前の的を魔獣と見做して、倒すよ。

ダンは、火属性の魔法、炎の矢フレア・アローで使う。僕は、水属性の氷の槍アイシクル・ランスを使うよ。


まずは、僕が、氷の槍アイシクル・ランス凍らす、そして、ダンが、炎の矢フレア・アローを放つ。

今回は、弱い魔力でするから、物が燃えるだけだよ。」と言って、

二人は、左右に分かれた後、パトリックは、氷の矢を放った後、ダンフォースが、同じ所に炎の矢を放った。


二人は、的の中央に、正確に矢を放っていた。


的を射た後、二人は、私達が、いる所に戻って来た。


「リズ、これが、一番簡単な、水属性魔法と火属性の魔法の矢だよ。

少ない魔力で、矢は作れるから、属性を持っていなくても、使えるよ。

初めに、どっちの矢を作る。」


「氷の矢を作ってみたいです。火は、火傷をしそうなので。」と笑顔を見せると、


「そうしたら、リズ、氷の矢を作る練習をしよう。属性を持っていなくても、作れる、矢だから、ダンにも手伝ってもらうよ。」


「はい、お願いします。」


「じゃあ、リズ、最初は、掌に、水をイメージしてみて」とダンが言うと、


掌から、水が、溢れて来た。

それを、見ていた、アレクサンドラの顔が明るく笑顔になった。


アレクサンダーが、「リズは、水属性魔法かもしれないな。聖属性魔法が使える上に、水属性を持っているのか。二つも持っているのかもしんな。

リック、リズに、氷の作り方を教えてやってくれ。」


「父上、急には、だめです。無理をする事になるのです。

徐々にですよ。リズに無理をさせるつもりですか。」


「父上、兄上の言う通りです。それに、リズは、魔力量は多いと思います。

だから、焦らないでください。

僕と兄上、それに叔母様で、リズに魔法を教えますから。」


「アレックスが、リズに魔法を教えるのは、辞めさせた方が、いいわね。

リズが、少しでも出来ると、調子に乗って、無理をさせそうね。

アレックスは、私と、一緒にリズとお茶をするのが、いいわね」とニヤリとしている。


「今日は、もう、練習は終えよう。リズは、明日から、学校だろ、

魔法の練習をして、学校の初日から、疲れていたら、変だろう。」

とリックが、言ったので、魔法の練習を終えた。


「リズ、お部屋に行くでしょ、私も、いいかしら?お部屋に行っても。」


「お母様、勿論、いいですよ。お母様とお話し出来るの、嬉しいです。」


魔法の練習も終わり、アレクサンダーと部屋に一緒に戻った。

部屋に入ると、アレクサンダーが、「リズ」と一言、言うと、急に抱きついてきた。


「お母様」その言葉以上は、出なかった。


アレクサンダーは、「この手で、抱き締めたかった。ずっと、今まで、我慢したのよ。バクスター公爵と一緒にいた時から、ずっと我慢をしてたのよ。リズ」

と抱き締めたまま、涙を流しているのが、判る。


ケイトを、ずっと待っていたのは、判る。

でも、どうしてだろう。少し、冷静な自分がいる。


「お母様、少しだけ、離れてもらっても、苦しいです、」


「ごめん、リズ、大切なリズ。やっと、この手に抱けた。

14年も待ったのよ。」

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