第94話
(嘘では、ないわ。その前から探していたけれどね。)
「ああ、今も、解るけれど、金色の輪に、瞳孔も金色になっているからね。」
「そうです。それで、カルヴィン殿は宰相である父親にその事を連絡を入れたそうです。だから、確認の為に、ダンフォース第二皇子が、確認の為に来られた。
確認をして、妹だと思われたそうです。ただ、確証がなかった。」
「だから、この国へ、晩餐会に招かれた。」
「そうです。ただ、平民のケイトを晩餐会に招待する事は、可笑しいですからね。」
「それで、僕は、都合良く使われた。って所かな。」と自嘲している。
「其れだけでは、ありません。スチュアート王子の留学も、決まっていたからです。」
「はぁ、何故、僕が、魔法学年の最終学年で、留学をしなきゃいけないんだ。何を仕組んだ。」マティーを睨みつけている。
「落ち着いて聞いてください。
まず、ケイトへの晩餐会の招待状が届く前に、スチュアート王子の留学の件が、先です。
魔法学園の運営ですが、王族の方が、責任者になっているのは、王族としての最初の仕事です。だから、魔法学園のカラーはその時の責任者の考えによるものが大きいのです。
アルフレッド第一王子は、責任者になる前に、他国の魔法を学ぶ環境などを知る為に、留学されました。
その時の、留学先は、この国の魔法学校です。貴族も平民も平等に魔法を学んでいたそうです。
その事から、アルフレッド王子が責任者の時には、下位貴族も、楽しい学園生活が、送れたと聞いています。」
「だから、何?
僕が、責任者だと、下位貴族は楽しくないって、何問題が、あるとでも言いたいの。
だから、今になって、留学なの。」
「落ち着いてください。
魔法学園の事もですが、王宮からも声が上がっています。
王子、文官からも、声が上がっているのです。」
「何を言ってるの、僕が王宮の文官と接点って、あまり無いと思うだけれど。」
「国王もその事を、気にされていました。」
「何を気にしすることが、あるの?」
「王子、イラつくでしょうが、少し落ち着いて、聞いてください。
魔法学園からも、王宮からも、王子の言動が、下位貴族を揶揄った言い方をするのが、目に余ると声が上がっているのです。
しかし、第二王子だから、今までは、黙認されていました。
でも、アルフレッド王子が、
『留学する前は、自分もスチュアートと同じだった。』と言われたのです。
その事で、国王が、スチュアート王子にも、国を支える大事な存在なのだから、留学させると決められました。
留学の話をする前に、ケイトの件で、晩餐会の招待状が、届き、国王も慌てて、アレクサンダー国王に連絡をとり、留学を取り付けました。
アレクサンダー国王は、ケイトと、カポーティブレナン王国で面会し、14年前に居なくなった、女王なのかの判断をしたかったようです。
だから、スチュアート様の事は、快諾され、同じく一緒に来る、ケイトも留学させて欲しいと、言われたそうです。」
「どっちにしろ、僕は、ケイトの為に利用された感じにしか聞こえないよ。都合がいいように、バクスター公爵が言っているとおもうんだよね。」と睨みつけている。
「スチュアート様、宜しいでしょうか」
「ケイトとして、それともエリザベス王女として、どっちの立場で、言うつもり。」
「一人の人間として、言わせてください。」
「何、一人の人間ね。僕もだけれど。」
「スチュアート様、何故その様な、言い方しか出来ないのですか?
身分や、立場があるからかもしれませんが、スチュアート様は、その、身分や立場があるがゆえに甘えていらっしゃると思います。
スチュアート様、少しで良いのです。周りを見てみませんか?
王宮の文官の方や、魔法学園の方で、声を上げられたのは、スチュアート様が、今なら、ご自身が、気付かれ変わってもらえると思われたからじゃないでしょうか?
国王もアルフレッド様も、スチュアート様が、留学によって、変わられる事を期待したのだと思います。
スチュアート様に、意見を言える人は、これからもっと少なくなると思います。
何故なら、その言葉が、ブーメランのように自分に返って来た時の事を考える様にしているからです。
立場も身分も無いからだと、言われれば、そうかもしれません。」
「そうだね、立場も、身分もないから、言われるよね。
でも、僕には、立場も身分もあるから、誰も言えないよ。
始めから、違うんだよ。」
「立場も身分も有って、今は、周りに色々な人がいるでしょう。
学園の時がそうでしたよね。沢山のご令嬢、ご子息が。
でも、少しだけ、考えてください。身分と立場だけが、スチュアート様の魅力でしょうか?
今回の留学を提案された、アルフレッド様はその事に気付いて貰いたかったのではないですか?」
「兄上が、その様な事を」
「私には、兄妹がいませんから、解りません。でも、スチュアート様の事を見ていたからこそ、そう思われたと思います。」
「アルフレッド様が、私に言われたのですよ。
『かわいい僕の弟なんだ。とても、甘えん坊なんだよ。
今はね、スチュアートは反抗期で、どうすれば良いのか解らないんだよ。その上にその気持ちを、ぶつける相手が居ないんだよ。
本来なら、父上や母上だろうが、僕達には許されない。王や王妃に反抗期をぶつける訳にはいかないからね。
多分、自分自身でも、頭では何となく解っていても、出来ないんだろう。
だから、身近にいて、身分的にも問題にならない相手にぶつけて居るんだと、僕は思っているよ。』とね。」
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