『かえるさんがいた』

やましん(テンパー)

『かえるさんがいた』


 (これは、かえるさんがいた、以外は、たわいもない、フィクションです。)




        🐸


 お買い物から帰ったら、玄関の前に、かえるさんがいました。


 とても、小さなかえるさんがいたのです。


 目が良くないぼくには、最初、見えなかったくらいに、小さなかえるさんです。


 色は、地味な灰色です。


 どこで、生まれたのかしら。


 最近は、かえるさんを見た覚えがあまり、ありません。


 むかしは、良く、ぺしゃんこになったかえるさんが道路にいましたが、それも、最近は、とんと見なくなりました。


 危険地帯だから、引っ越したのかもしれないです。


 『やあ、やましんさんだね。』


 『あら、知ってるの?』


 『うん。先祖から言い伝えられているんだ。やましんさんちは、わりに、安全地帯だから、逃げ込むなら、最適だと。草刈りも、あまりしないし、逃げ込む場所が、豊富にある。』


 『はあ。まあ、たしかに。とくに、今年はおさぼりしてます。』


 『いや、いいんだ、そのほうが。』


 『ふーん。そうなのか。』


 『さいきん、雨が良く降るし、気分がいいな。』


 『それで、出てきたのか、』


 『うん。まあ、そう。でも、もう、かえる。元気でね。なにか、良いことがありますよ。』


 かえるさんは、ちょっと、不器用に玄関の壁に何度かぶつかりながら、草の中に消えました。


 『なにか、良いことか。なんだろうな。』


 買い物袋を下げたまま、玄関を開けました。


 そいいえば、その袋は、鳥獣戯画がプリントされたものでした。


 かえるさんが、うさぎさんと、お相撲しています。


 なるほど、昔から、そうだったんだ。


 たぶん、かえるさんと、おはなしできたことが、とても、すごく、良いことなんだろうな、と、考えました。


 今日も、雨が降ったり止んだりしています。


 水没しなければ、良いなあ。




    ・・・・・・・・・・


           🐸



  


 

 


 


 

 

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『かえるさんがいた』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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