飛んで火に入る
ひざのうらはやお/新津意次
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ストラテラは飲み続けることが大事らしい。先生のことばを信じてぼくは毎日青いカプセルを飲む。最初のうちは無限に自己が増殖したような気ばかりがしていて、夜になれば身体に芋虫が襲い掛かってくるような夢ばかり見ていたけれどもう慣れてしまった。飲むたびにどこかしらでなにかがぼやけていくのを感じている。この薬の中に何か、超常的な力があるのかと聞かれればすぐには否定できないだろう。そしていつの日かぼくが社会に溶けて消えていってしまっても、あとには誰も残らず、ぼくという領域がなかったことになってしまうだろう。そんな予感がする。
それだけは嫌だった。
たしかに嫌だった。
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