第4話

「この写真、俺が通ってた大学だ」


 かなめちゃんは学生なのか? っていうかそもそもなんだこのDMは?

 1ファンとオフ会って、マジか?

 怪しいけれど、アカウントは本物だ。

 ならば、行かざるを得ない。

 

 翌日。

 

「写真はこのあたりだ……」


 俺は大学にある、古ぼけた研究とうの入り口にやってきた。

 リモート講義が当たり前になったからか、行き交う学生の数は俺がいたころより、はるかに少ない。

 とはいえ大学を完全閉鎖していた時期もあったらしいから、幾分か日常が戻っているようだった。

 

「おい、お前がヌマジリか?」


 研究棟から出てきたのは、薄汚れた白衣を着た目つきの悪い女だ。

 

「そうですけど、あなたがまさか……」

「あー、違う。あたしはなんていうか……そう、運営だ!」

「運営……?」


 学生、という年齢ではなさそうだが、白衣を着たV運営って、あまり聞いたことがない。

 そもそも研究棟から出てきたんだよな……。

 

「お前がヌマジリなら問題ない。着いてきなさい」


 小柄な背中を追いかける。

 中央階段を上がるのかと思ったら、脇にある扉を開けて地下に降りていく。

 階段から天井までコンクリート打ちっぱなしのトンネルだ。

 断続的に設置された蛍光灯は薄暗く、俺たちの足音だけがコツコツと響く。

 どこまで下ったのだろう、引きこもりの足は限界だぞ、そう思いはじめたころ、階段の終点に到達した。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る