第3話

 スパチャに付与された金額は、Qtune運営に中抜きされるもののVtunerぶいちゅーなーの収入になる。

 だから俺は推しへの赤スパを惜しまない。

 たとえ、視聴者が少なくコメントが流れる心配のない配信でもだ。

 その日のかなめちゃんの配信は1時間、その間のコメントは50件で、うち45が俺のものだった。

 

『そろそろお別れの時間です。来週のスケジュールはツブッターに載せるので、チェックしてね! おつホワ~!』


ヌマジリ>『おつホワ~』


「……ふう、ツブッター見とくか」


 VtunerたちはSNS、ツブッターを併用していることが多い。

 Vtunerというか、発信するビジネスをしている個人でツブッターを使わない人はほぼいないだろう。

 Vの場合は1日何時間かの配信では伝えきれない日常や他のVとの関りを発信して、親しみやすさを増す意味合いがあるんだと思う。

 多角的アプローチはビジネスの基本だ。

 

「あれ、通知きてるな」


 俺がゲーミングマウス(これも趣味探しの副産物だ)を操作してツブッターを開くと普段全くない通知が1件来ていた。

 全くない理由としては、非公開アカウント、いわゆる鍵垢かぎあかだし、フォロワー0人だからだ。

 俺のつぶやきを見ている人間は存在しないし、そもそも備忘録的にかなめちゃんのつぶやきをリツブートすることしかしていない。

 

「フォローリクエスト? スパムか?……って、かなめちゃん!?」


 偽物を疑ったが、俺のフォローしている白戸かなめ公式アカウントからのフォローリクエストで間違いない。

 白戸かなめ公式あか(アカウントの略称だ)はかなめちゃんの好きなカフェや、ゆるキャラや、同業者のVだけをフォローしていたはずなのに……

 

「とりあえずリクエスト承認……うわ、今度はDM!?」


 リクエストを承認するなり、DMが届く。

 俺のフォロワーは現在1人なので、かなめちゃんからのDMってことだ。

 

「客先にクレーム対応するときよりドキドキするな……ええい、読むぞ!」


 そこには、驚愕の文字がつづられていた。

 

 

  こんホワ、ヌマジリさん。さっきぶりだね!

  いつもスパチャありがとう。

  月並みな言葉しか言えないけど、本当に感謝しています。

  つきましては、ぜひお礼がしたいので明日の正午、写真の場所に来てください!

  お昼ご飯を用意して待ってます。

  

  白戸かなめ

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