第396話 それぞれのペースで


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 更新ペースが遅くなって申し訳ありません。

 今月の下旬に入ってから体調不良が続いていて寝込む日が多く、思うように執筆できていない現状です……。

 本日の投稿も短めとなっていますが、今度からはなるべく長めに纏めて投稿しようと思います。なので、もしも今後、投稿頻度が低下した場合には”ああ、炬燵猫は体調を崩しているんだな”と思ってください。本当に申し訳ございません……。


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「「……」」

「「あーーーー!!!!」」


 唇を重ねる俺とフィストレアを見て、傍に居たファンカレアとグラファルトが声を上げる。口を塞がれているため声は出せないが、内心では俺も驚いていた。

 不意をつかれてキスをされた俺が驚いて動きを止めていると、フィストレアは更に舌を入れてくる。


 舌を動かす度に漏れ出る唾液の跳ねる音と、色気のある吐息が、俺の思考を鈍らせていく。

 やがて俺の口内に数秒程舌を這わせたフィストレアは唇を離すと、至近距離で俺の顔を見つめて微笑んだ。


「ふむ……初めてではあったが、言葉では表せない幸福感があるのぅ」

「初めて……?」


 全くそうは思えないテクニックだったけど……。

 そんな事を思いながらフィストレアを見ていると、俺の顔を見つめていたフィストレアがおもむらに頬を膨らませて不満顔を作り始める。


「儂の貞操を疑っておるのか?」

「……そんな事はないぞ?」

「なんだ今の間は!? そんなに疑うのならば、今すぐにでも確認して――「いい加減ん位してください!!」――なっ……ファンカレア、放せ!!」


 俺の返事を聞いて怒り出したフィストレアがローブの中に着ていた”魔力装甲”製の短パンに手を掛けた所で、ファンカレアがフィストレアを背後から羽交い締めにして後ろへと下がらせた。


「ええい! いい加減にしろ!」

「それはこっちのセリフです! 貴女はいきなり何をしているんですか!? 恋人でも夫婦でもない異性にキスをするなんて……私だってそんなにしたことないのに……!」

「ほう? 男女の仲であるというのに、キスもろくにしておらぬとは……積極性が足りぬのではないか?」

「うっ……」


 不満を漏らすように叫ぶファンカレアに対して、フィストレアが反論する。すると、フィストレアの言葉を聞いたファンカレアは思うところがあったのか、バツの悪そうな顔をして呻くのだった。


「そう言えば、お主は昔から初心で恥ずかしがり屋じゃったのぅ……あれから長い年月が経ったと言うのに、まだ治っていなかったんじゃな」

「い、良いんですー!! 藍くんとは、清く美しい関係を築いていくんですー!! ゆっくり愛を育んで行くんですー!!」

「まるで子供じゃな……はぁ……ランはそれで良いのか?」


 いじけるようにそっぽを向いたファンカレアに、フィストレアが呆れた様子でそう呟いた。

 確かに、ファンカレアとはまだ唇を重ねるだけのキスしかしていない。それも、婚姻の儀の時の一度だけだ。

 はっきり言ってしまうとグラファルトやミラとは違って、ゆっくりなペースだと思う。でも、そこを含めて楽しんでいるのもまた事実だ。


「うーん、確かにペースとしては遅い方なのかもしれないけど、俺はファンカレアの気持ちを尊重したいし、何より仲は凄く良いから特に問題とは思ってないかな?」


 ペースが遅い事で仲が悪くなってしまったり、世間一般で言う倦怠期になってしまうのなら考えるべきなんだろうけど、そんなことは全くなくて、俺とファンカレアの仲は極めて良好だ。


「それにキスはしなくても、手を繋いだり、ハグをしたりはするから。今はそれで十分かな」

「ふむ……まあ、お主らが納得しているのならそれで良いのじゃが……」

「そんな事よりも、何でフィストレアは俺にキスを……?」


 正直、そっちの方が今は気になる。

 嫌だった訳ではないが、キスをするような雰囲気でも無かったので、さっきから内心ソワソワとしている自分が居た。


「ん? そんなの決まっておる――儂がお主を好いておるからじゃ」

「お、おう……」


 あっさりと告白されてしまった。

 こうも淡々と告げられてしまうと、嬉しさとかよりも不意打ちを喰らった感覚になって動揺してしまう。

 そもそもとして、俺がフィストレアに好かれる要因何てあっただろうか?


 その事について聞いてみると、フィストレアは特に隠すことなく微笑みを浮かべながら俺を好きになった理由について話してくれた。









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 【作者からのお願い】


 ここまでお読みくださりありがとうございます!

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