第65話 二人とも頑張りましょうね
今日、僕たちが参加する大会は、三つのクラスに分かれています。上から、S級、A級、B級。
S級は、三段以上の実力を持つ人。A級は、初段から二段。B級は、級位者のクラスです。
「君はS級に出るんだよね。……私もそっちがいいなあ。『決勝で会おう』ってやってみたい」
「しに……姉さん。さすがにいきなりは無理ですよ。それに、姉さんが出るB級だって十分レベルが高いんですから。いつもみたいにノリと勢いだけで指しちゃだめですよ」
級位者のクラスとはいえ、大会に参加する人は、ほとんどが初段に近い実力を持っています。中には、二段の実力を持ちながら、あえてB級で出る人もいるんだとか。果たして死神さんが勝てるのかどうか……。
「……まあ、私はA級でやれるところまでやってみようと思うわ。二人とも頑張りましょうね」
「はい」
「了解だよー」
僕たちは互いに頷き合い、それぞれの対局が行われるテーブルへと向かいました。
開会式を終え、いよいよ対局。
「それでは皆さん、対局を始めてください」
「「「よろしくお願いします」」」
司会者の声とともに、一斉に頭を下げる参加者たち。会場のあちらこちらから、チェスクロックの「ピー」という電子音が鳴り響きます。
僕の対戦相手であるおじさんが、駒を手に取りパチリと打ち下ろしました。その手つきはとても綺麗で、いかにも戦い慣れているといった様子です。
僕の肩に、自然と力が入ります。思えば、僕がこうして大会に出るのは久々ですね。ブランクはありますが……まあ、先輩同様、やれるところまでやってみましょう。
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