第47話 ……あれ?
「ふーん……なるほどね」
先輩は、そう言って小さく頷きました。ゆっくりと駒を手に取り、パチリと打ち下ろします。その手は、4二
「……あれ?」
先輩の手に、死神さんは目を丸くしていました。そして、しばらく「うーん」と唸った後、4八玉と指します。
それに対する先輩の手は、3二玉。
「……あれ? あれ?」
困惑する死神さん。ベッドに座って対局を見守っている僕に顔を向け、一言。
「あの……
「いやいや。昨日言いましたよね。角を取られないことの方が多いですって」
「…………は!」
そうです。死神さんの指している『
「えっと……。この後どうすれば……。うう……」
死神さんの赤い瞳が、次第に潤んでいきます。涙が流れ出すまで、それほど時間は残されていないでしょう。
「……これ、もう私の勝ちってことでいいんじゃない?」
「ま、まだだから! まだ始まったばかりだから!」
死神さんは、グイッと目元を一度拭い、必死に次の手を考えていました。
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