3-3 秋刀魚討伐

 俺は朝食を済ませた後、再び龍に会いに行くのでベットに横になっていた。


「いい?ちゃんと龍と契約なり服従なりさせてきてね。間違っても龍の前で心が折れたりしちゃダメよ。身体が乗っ取られちゃうんだからね。」


 そんな恐ろしいことをインドラが言い放った瞬間視界はあの時と同様暗転した。












((クックック、来たな。))


 目の前には昨日出会った龍がいた。


((あの女神が服従させろなんて言ってたもんだから我もう気合い入っちゃったからさ、殺し合いでもしようじゃないか。))


・・・はぁ?殺し合いだぁ?この野郎命を何だと思ってんだ。

 つか服従させろとかバカ言ったのは俺じゃないんだぞ。俺の命を差し出す必要ないんだよなぁ。


((いいじゃないか。我の娯楽に付き合ってくれ。))


 娯楽で命をかける奴がいるか!


((クックック、始め!))


 コイツ人の話を聞かないタイプか?つかこの龍もう戦う気満々じゃないか。


 俺は急いで剣を構える。


 今はここに剣があることなどどうでもいい。


 龍は俺が剣を構えたタイミングで俺の周りをグルグルと回り始めた。

 俺は出来る限り龍の姿を見ようと集中していた。


「うぐっ。」


 龍は俺の横っ腹を恐らく爪で切り裂いてきた。


(コイツマジでやる気か。)


 集中して攻撃を龍に当てたいところだが、龍に腹を切り裂かれたことで大量出血で頭がクラクラする。


((どうした?そんなんで終わるような貧弱なお前じゃないだろう?))


(龍の動きが速い。せめて一発「「肩斬」」でも当たって動きが変わればそこから逆転の余地もあるが…。)


「「ゲイル。」」


 俺の手から発動したゲイルは龍のそばまで行ったが龍が回っている風圧でかき消されてしまった。


 これって結構不味くないか?中級魔法がこうも簡単にかき消されるとなると龍に刺さる攻撃手段が思いつかない。


 いや、無い事はないのか。まだ動きの確認すらしていない技。「「ビクトリースラッシュ。」」


 俺は柄をしっかり握り、剣を自分の正面に構える。


フォーン。


 少し鈍い音が剣から鳴った後、剣を右肩に担ぎ、龍に突っ込む。


「「ビクトリースラッシュ。」」


 一撃目が右肩から発射され、龍の身体を斬り込み、身体をすぐさま180度回転し、取り残された剣を身体の前に振り切ることで龍の身体にはV字の切り込みが入る。


((クックック、お前面白いな。まだ使ったことのない剣術をこの場に置いて完成させてしまうなんてな。もっと我に見せてみろ!))


 「「ビクトリースラッシュ。」」は思ったよりダメージは稼げなかったものの、当初の目的である龍の動きを封じることには成功した。


「「ライジング。」」


 天界でゼウスから魔法を教えてもらった時に無意識で進化させることができた中級魔法雷属性「「ライジング。」」青白く光った雷は地面を走り、龍に直撃した。


(このまま手を休めるわけにはいかない。)


フィーン。


「「肩斬。」」


 地面を思いっきり蹴り斬撃を龍に叩き込む。


((調子に乗んな。))


「「一般型咆哮ノーマルハウル 。」」


 俺は「「肩斬。」」の発動を途中で止め、すかさず剣を地面に刺し、距離をそこまで取られないようにする。


「「龍の息吹ドラゴンキャノン。」」


 俺は発動の一瞬の隙に横に飛び込み、「「龍の息吹ドラゴンキャノン。」」は直撃を避けた。

 お尻は掠った。


((クカカ、よし。気に入ったわい。お前なら退屈しなさそうだし。力を貸したる。いいな?))


「正直なところ体の主導権がこちらにあるのなら問題は無い。」


 という感じでお互いに不満は無かったので話は一件落着となった。


((さて、現世に帰ろうか。))


 龍はそういうと俺の額にデコピンをした。











「あ、帰ってきた。」


 目を開けるとヒカリがベットに座っていた。


(戻って聞いたが、実際龍のところに行く前と変わったところはないように思えた。)


((我の力を使いたい時は言えよ?というか念じろ。我とお前は念じることで会話が成立するからな。))


 なるほどなるほど。


「お、小僧そこにいたか。ほれ、お前さん用の剣じゃ。消耗品とはいえ大事に扱えよ?」


 おっさんに剣を受け取ったが振ったら身体が流されてしまいそうな感じの重量だ。


「ついでに今日も秋刀魚を討伐してけよ?」


 値引きしてやるからと言われ俺とヒカリは再び屋根に登った。


 本来は1日で秋刀魚は飛んで来ないとのことだが今年は冬が長く、秋刀魚の中で飛び立つ時間がずれてしまったのがいるらしい。


キーン。


 剣を鞘から取り出し、甲高い音が鳴る。


 重さで剣先がより下に向いているが慣れれば問題は無いだろう。


(そうだ。せっかくだし龍の力を貸してくれよ。)


((今日はお前と戦ったのもあって疲れてんだよな。まぁ仕方ない。いいか?力を貸すのはいいが合体は初めてだ。時間は持って5分だぞ。))


 十分だ。と俺がいうと血流が速くなっていく。


((来たぞ。時間はもったいないし力のコントロールを失敗すると下の家がぶっ飛ぶから気をつけろよ。)) 


 俺は足に力を少し込め、飛び、「「肩斬。」」で秋刀魚の群れを切り落としていく。


 脚力が増えたので滞空時間が延び、戦闘スタイルを見直すことを決意したユウキであった。



浮島うきじま 優樹ゆうき Lv.1

 能力《アビリティ》 ??

 技能スキル 無し

 剣技 肩並行斬 進化 肩斬

ビクトリースラッシュ

 魔法 【初級】     【中級】

    ファイヤー     ゲイル

    ウォーター     ライジング

    アース

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