3-1 秋刀魚討伐
ウーウーウー
ウーウーウー
今日は朝からサイレンが鳴り響いている。
お陰であんま寝れなかった。
陽が出る前にサイレンが鳴るのは勘弁してほしいものだ。
街にはオンボロギルドが大量の経費を払って建てたであろうスピーカーが大仕事をしている。
「あらユウキおはよう。」
眠そうな目を擦りながらインドラが起きてきた。
ちなみにヒカリは一時間前に起きて運動をしてくると出かけてしまった。
是非インドラも見習った方がいい習慣だろう。
と言うかインドラに関してはお昼前まで寝ているのでなかなか難しいのかも知れない。
あと俺から言うと「あんただって起きたの9時半でしょ?」とかつっかかってくるのでこう言うのはヒカリ姉貴に任した方がいい。
あぁ。それがいい。
決してめんどくさいから擦りつけたわけじゃない。
おっさんに武器を作ってもらって二日目だがヒカリは物凄く真面目なのだろう。ここ二日間は早起きをしてしっかり体を動かしている。そりゃ街で2番目に強いっていうのも納得できる。
「んー。それにしても今日は朝からサイレンが鳴ってるの?」
「そうだぞ。うるさくって寝れなかったわ。」
インドラはのびーっとしながらユウキは睡眠にはうるさいタイプなのね。などと呟きながら顔を洗った。
インドラは料理が出来ず、俺は自炊していたがこの星の食材がよく分からないので食事はヒカリに任せっぱなしなのでヒカリが運動から帰ってくるまで食事は無しである。
「それにしてもこのサイレンってなんのサイレンかわかるか?」
「ここは今は春どきで丁度星の真ん中にあるから…サンマね。」
サンマねぇ。漢字で秋刀魚と書くように秋の青魚であるがその秋刀魚になんのサイレンなんだか…。
「ユウキには可笑しく聞こえるかもしれないけどこっちの魚は全て空を飛ぶのよ」
話の度合いもいきなり飛んでてびっくりもんだよ。だけど某有名な異世界系小説はキャベツとレタスが襲来してくるのだ。驚きはするが椅子から転げ落ちる程ではない。
「その中でも秋刀魚だけは舐めちゃいけないの。だって秋刀魚は時速70キロで飛ぶのよ。勿論山なんて貫通してやってくるわ。」
時速70キロなんて一般道路の最高速度上回ってるじゃん。そりゃサイレンも鳴るわ。
「ただいま。インドラはおはようね。」
そんなこんなしている間にヒカリが帰ってきたので昼食を素早く済ませてしまった。
「2人ともちょっといいかな。」
朝食で使った食器類を片し終わり、店番と言ってもあまりお客さんが来ないので昼まで何をしようか迷っていたところにヒカリが真剣な顔で声をかけてきた。
「今日はサンマサイレンが鳴っていると思うんだけど、サンマが勢いよく飛んでくるから家の損壊被害が多くてさ、今武器を作ってもらっている間はさ、ここだけでも守りたくてね。」
ヒカリの言いたいことは何となくわかった。この家を70キロサンマから守りたいと言うわけだろう。
だが70キロで空を飛ぶサンマをどうやって対処するか。
なんか面倒だし飛んでくる方向に置き網でもしてやろうぜ。
「だからさ、屋根に登ってサンマを切り落とすの手伝って欲しいの。」
正直すぐさま了承したからこそ気づかなかったが屋根に登っても踏み込めないし落ちるしで危険じゃないか?
インドラは屋根に3人じゃ邪魔になりそうなので家の中にいてもらっている。
まぁ俺も使い物にはならないだろうが居ないよりはマシと言われた。
ヒカリは自前の大剣があるが俺は武器を持っていなかったので適当に飾ってあった片手剣を持ってきた。
「なぁヒカリ。屋根斜めに傾いてるけどどうやって攻撃するんだ?」
ヒカリは 「静かにして、来るから。」と言い俺の質問に答えてくれなかった。
しかし次の瞬間俺はインドラが言っていたことが目の前で起きてしまった。
そう、それは店の入り口右斜めの方角にあった山の真ん中に穴が空いたのだ。
「来たわね、今日の晩御飯。」
この世界においてサンマももうモンスターと同じようなものなのか。ってヒカリさん?目をキラキラ輝かせて言うことじゃない。
(というか時速70キロってこんな早いの?こんなんすぐに間合い詰められちゃうんじゃ…。)
しかし横でヒカリが剣を構え、その途端剣が光出した。
そしてヒカリが一呼吸置いた瞬間、タッタッというステップとともにサンマに突っ込んで行った。
スパ。
すれ違った瞬間大きく成長した胸ビレを切ったと思った瞬間サンマは急落下していき地面に刺さった。
「ユウキ!前!」
ヒカリの声に反応した時、60センチ手前までサンマが来ていた。
俺は反射的に両腕を顔の前に揃えた。
しかし時速70キロの勢いが腕に集中したことにより、HPバーが一気に減った。
ドクン。
そのイヤラしい鼓動とともに心臓が、血流が速くなっていくのがわかった。
全身の肌が赤くなり、ヒビらしきものが皮膚の表面に現れ、爪が急激に伸び始めた。
(あれ?体が思ったように動かない。なのになんで動いてる?)
しかしその疑問はすぐに解決した。
そう。この前インドラが話した龍の力。そのせいで体の主導権が龍に奪われてしまった。
俺の体は腕に刺さったサンマを引き抜き、握ってグチャグチャにした後、飛んできたもう1匹のサンマに対して右ストレートをお見舞いした。
右ストレートを真正面から喰らったサンマは肉片が飛び散った。
そして俺の記憶はそこで途絶えた。
「ん、ここは…。」
ベットとインドラ。次の小説のタイトルは決まりだな…
あぁ、ぶっ倒れたのか。
「何目が覚めた異世界主人公みたいなセリフ吐いてんのよ。」
いや、あながち間違ってないんだよな。それ。
「龍の力で倒れた訳だけど、どう?コントロール出来そうだった?」
「うーん。コントロールがどうのこうのってのよりどんな奴かわからないし交渉したほうがいいのか力ずくで奪い返さなきゃいけないのかわかんないしな。」
つか最後まで意識を保つことも出来ないしな。
「全く。いい?今からユウキと龍を無理矢理合わすからそこで決めなさい?」
そういうとインドラは指パッチンをし、俺の視界は真っ暗になった。
((よう、小僧。))
目の前には誰もが想像するであろう龍がそこにいた。
体は赤く、皮膚にはヒビみたいなのがあり、長い爪が生えている。
先ほど変身した体にそっくりだった。
((ここはどこだ。って顔をしているな。まぁわからなくもない。だから教えてやろう。ここはお前の精神を具現化したところだ。))
怖い表情の割に意外と怖くないんだな。
((怖い訳なかろう。我はフレンドリーなタイプだからな。まぁただあれだ。我は暇なんじゃ。だから簡単にこの力をお前に貸すのは少々つまらんと思ったのでな。だから明日、またここに来い。我を楽しめたら力を貸してやろう。ていうよくあるパターンでもやろうぞ。じゃあ明日な。))
「あれ、。」
いつの間にか現実世界に戻されていた。そしていつの間にか太陽が沈みかけていた。
「どう?会えた?」
インドラは俺の顔を覗き込みながら聞いてきた。
「会ったは会った。ただ明日もう一度あの場所に送ってくれ。」
インドラは俺がわざと言葉の数を絞って言ったことに何かを察してくれたのか深くは聞かずに夕飯の準備に行ってしまった。
後はあいつに技という技を教えて貰おう。
ステータス
能力《アビリティ》 ??
剣技 無し
魔法 【初級】 【中級】
ファイヤー ゲイル
ウォーター ライジング
アース
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