2-2異世界にて
ヒカリの住む街 <セルンド>
街の名前の由来はsell=売る
売ると言えば商売。という事でこのセルンドは商業に特化した街となっている。
他の街より一回り大きく、東西南北全てに整備された門と道路が存在する。
人の出入りが多く、宿屋は多くあるがどこも満席になることが殆どだそうだ。
しかしセルンドには他の街に比べて劣っている事がある。
それは・・・
「えっ?こんなに大きい街なのに冒険者が一握りしかいないのか?」
「そ!だから他の街には商業しか取り柄の無い街なんて言われ方もするわ。」
冒険者が街を守り、ギルドはそんな冒険者にクエストを与える。そんな切っても切れない関係なのだ。
冒険者が多い街には王都もそれなりの報酬を払うが冒険者が少ない街には一銭も払わないという。
「それもまたひどい話だよな。じゃあこの街は比較的貧乏な街なのか?」
「そうでもないわ。全部商売で何とかやり過ごしてる感じ。」
なるほどなぁ。でも貧乏ではないにしろ街を守る冒険者が居ないことは結局問題なのか。
「んで、そんな感じのギリギリの街で冒険者稼業をわざわざする必要もないので王都に行けるだけの金をこの街で貯めて出ていくのか。」
「そういうこと。」
(こりゃあ最初から大変な街に流れ着いちゃった感じだな。)
俺がそう思いため息をつくと素晴らしい光景が視界に飛び込んできた。
たわわな胸。とんがった耳。人間離れした美貌。露出度と透明度がある服を着たあの種族は・・・
「エ、エルフだ。」
思わず感動の余り目が潤った。ゲームの世界にしか存在しない空想の生き物だと思っていたからこそ目に焼き付けたい。
「ユウキはもしかしてエルフにあったことないの?」
ヒカリめ、俺が会ったことないことを馬鹿にしようとしてるな?この感動は地球人の中でも少数の人にしかわからないだろう。
だがしかし!
そんな少数だからこそ同じ感情を持つものは速攻友になれるくらいの影響力を持つ。
「このご時世どこを歩いてもエルフとすれ違うくらい何だけどな。」
「え?エルフってほら、こうエルフ一族が代々森を守ってたりするんじゃないの?」
エルフと検索すればそう出てくること間違いないって言うほどの常識でしょ?
「ふふふふ。ユウキはいつの時代の人よ。そんなのエルフのみんなに聞かれたら一生涯ネタにされるわよ。あー面白い。」
まぁこっちの世界じゃまず存在するのかさえ危ういんだけどな。
「ぶへ。」
いきなり止まったヒカリとよそ見をしていた俺が軽くぶつかった。
そこまで睨まなくてもいいじゃないの。せっかくのお可愛い顔なんだからさ。
うん。正直俺でさえキモいと思っている。だから皆まで言うな。
「とりあえずここに入ろ。」
俺はヒカリが立ち止まったお店の看板をよーく見た。
ブキヤ。・・・あっ武器屋。
カランカラン。
「マスター?マスターは居る?」
「おぉ、ヒカリちゃんか。いらっしゃい。」
ヒカリは先に武器屋に入って行ったので俺も後を追うことにした。
「ねぇユウキ。見て。ここの武器全部光ってるよ。」
インドラに言われ店内に置いてある武器を近ずいて見ると武器一個一個からオーラみたいなのが溢れている。
剣は刃の部分が青白く光っている。
こっちの盾は黄緑色のオーラが出ている。
あっちには黒光りしている胸当て。
どれもカッコいいなと思い値段に目線をやる。
500万テル。俺の所持金が30テル。これでこの武器屋が言い武器屋である事が証明されたようなものだ。
「なぁインドラ。こっちの世界の通貨ってどうなってんの?」
「え?ゼウスから何も聞いてないの?」
えぇ、なーんも聞いてませんよ。あの人のことだから
いっけねぇ、ユウキに教えんの忘れてたてへぺろーって言いそうだからなぁ。
いや、今頃言ってるだろ。想像できるもん。
「まぁあれよ、日本と同じよ。1円=1テルよ。違うとしたらお札が無くて、銅貨、銀貨、金貨、白金貨って上がっていくわ。銅貨が日本で言う1円。銀貨が100円。金貨が10,000円。まぁ白金貨なんて持つこと無いでしょうから飛ばすわね。」
と言うことは…500万円。すなわち金貨500枚?高すぎだろおい。
今日稼いだ分が50テル…単純計算しても274年だろ?
無理だろこれ。
「マスター、新しい剣作って欲しいの。片手剣がいいかな。」
「おうおう、任せとき。いつも通りの感じでいいかい?」
ちなみに俺が必死に脳内計算している間にヒカリは武器の発注を進めていた。
もしかしたらヒカリの家は金持ちなのかもしれない。
あの大剣もまだ使えそうなのに新しい武器を発注しているし俺らを泊めてくれるし。
家も馬鹿みたいにデカいのかもな。
「ユウキって何色が好き?」
「赤か黒だな。」
「じゃあそれでお願いします。」
あれ?ちょと待てよ?ヒカリの武器なのに俺の好みの色なんて聞くか?
コレクション癖があったとしても赤と黒なんてよくある組み合わせだよな…。
「ちょいと待て、その武器はヒカリのだろう?何で俺に聞くんだよ。」
「ガキの剣だからな。ヒカリちゃんは大剣以外使えんからな。片手剣の時点で気づいておったわ。」
店主のおっさんが「この子は女の子なのに逞しくて真面目で不器用で言い子なんだよ」と笑いながらそう説明する。
その説明を受けて恥ずかしがるヒカリと小馬鹿にしたそうに肩を叩くインドラ。
「剣を作ってもらえるのは嬉しい話だけどさ、金は無いし借りるなんてもってのほかなわけよ。もうヒカリに借りがあるわけだし。」
「ユウキはどの借りの話をしてるの? 借りなんて作った記憶ないんですけど?」
うっそだろ?昨日一昨日の話じゃねぇぞ。小一時間前のケルベロスの話だぞ。もしかしてコイツ…超絶記憶力の無い子か?
「ねぇ、今どこまで失礼なこと考えてたのよ、怒んないから言ってみてよ。」
何が怒んないから言ってみなだ。そう言いながらめちゃくちゃ怒るんだろ?
いっつもその言葉を信じて裏切られるんだ。信じれるか。
「とりあえずケルベロスから助けて貰ってんだ。これ以上は受け取れねぇよ」
「「?」」
2人は仲良く首を傾げた。これでもかと言うくらいの綺麗なシンクロを添えて。
お前らいつの間にそんな仲良くなったんだよ。
「ユウキ、言ってなかったけどケルベロスはあんたが全部倒したのよ。」
「え、だって俺ケルベロスに囲まれて、攻撃受け続けてHPバーが1割切った途端に記憶を無くしたんだぜ?」
インドラは小声でやっぱりね。と言いそのまま口を開いた。
「いい? 今から言うことをしっかり理解しなさいよ?」
インドラはそういうと長々と話を始めた。
まず俺が転生したこの星は地球の派生したものであり、地球からはどんな手段でさえいく方法が存在しない。
死ぬことを除けば…。
そして地球より先にこの星はできていたという。
この星にはいくつかの能力が存在する。
まず1つ目は皆さん大好き<魔法>である。
魔法は空気や体内に存在する魔素や魔力を媒体にして発動させている。
天界で練習してたのが魔力を使用して発動させるパターン。
そして2つ目能力アビリティ。
1人1つランダムで与えられる力。
そして能力アビリティにはまれに進化するものがある。
その名は異名ダブルネーム能力アビリティ。
能力アビリティはいつの間にか使えるようになっているという。
そして3つ目。技能スキル。
技能スキルは戦いの最中に得られる力を指す。
または努力して手に入れることができ、幾つでも得られるとのことだ。
そして問題の4つ目。その力は太古より存在する能力であり、わずか5人にしか宿らないとされている。
大昔、人種と神種対魔神族と魔族の戦争が行われていた。
お互いが本気を出して挑んだその戦争は5人の人間に宿った力によって終戦した。
人間に宿った5つの力は強さ順に 龍 蛇 熊 狼 猪 に分かれる。
その5つのうち1つの龍の力を持つ器が死んだことによって龍が暴走して、のちにゼウスによって封印されてた。
「んで、その龍の力がユウキの身体にいるってことよ。ゼウスが何したかったのかよくわからないけどあなたを器としたみたいよ。」
そして瀕死まで追い込まれたことで身体の主導権が龍に移ったのではないか。とのことだ。
「その話は御伽噺でしか聞いたことなかったけど本当にあったんだ。」
「ま、そう言うことね。とりあえずユウキは龍の力をできるだけコントロールして欲しいの。早急にね。」
そういうプレッシャーになる言い方はやめて欲しいです。お腹が痛くなる。
「まぁさ、俺は貸し借りはしたくないんだよ。いつどこで話の食い違いが起こるかわかんねぇ。そんなんで恨まれたくもないしな。」
「いやー、実はね。君が信頼できる人間か試しちゃったのよ。悪いなーって思っちゃってね。てことで私をパーティに入れて欲しいの。」
出会って半日で少しだがヒカリは善人であることは間違いない。
確かに悪くない案である。この星の知識がない俺にインドラ1人はなぜか不安でもある。
「いいぜ、その話に乗った。インドラもいいよな?」
「もっちグー。にしてもヒカリも素直になれないんだねぇ。ほんとはぼっふmふm。」
ヒカリは顔を赤くさせながらインドラの口を塞いだ。
よし。あとでもう一回インドラに聞こう。
そうっして今この場に新たなパーティーが始動した。
「そろそろ仕事に取り掛かっても良いか?」
武器屋のおっさんは俺らの話が終わるまで待っててくれていた。
「今から剣を作るが大体3日かかっちまうんだがその間お前らには店の手伝いをしてもらうぞ。」
こうして剣を作ってもらう間に店の手伝いをすることになったユウキ達であった。
ステータス
能力《アビリティ》 ??
剣技 無し
魔法 【初級】 【中級】
ファイヤー ゲイル
ウォーター ライジング
アース
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