39歳の誕生日(2回目)のはずが
目が覚めた。よし、これで独り身の39歳を迎えたぞ。
あれ.......
部屋が綺麗.......
まさか
まさか クソババアか
俺はわずか数歩のリビングまでをやたらとバタバタしながら飛んでいく。
「おはよう かずちゃん」
かずちゃん.....この呼び方。その後ろ姿
長いポニテ、後ろ姿まで美しい
「陽菜?」
振り向いたのは愛らしい二重の幅が広い大きな目、童顔な俺が37で別れた
「陽菜ー!!会いたかった」
俺はキッチンで後ろから抱きつく。
「なに どうしたの?一緒にねんねしたじゃないっ かずちゃん」
そうだ。この可愛すぎる話し方、陽菜は7つ下。30歳近くでも許されるくらいのあどけなさが可愛い。鼻にかかったような声で『かずちゃん』もう一度聞きたかった 呼ばれたかったんだ。
あ、ということは、2019年6月7日?
37歳の誕生日。
この年に、俺は陽菜に振られる......。
ってか、なんでまた1年戻る?まさか、ずっと戻り続けるのか......。
「お誕生日おめでとう!かずちゃん」
「ありがとう」
「37歳のはじめてのチュウは?」
あぁ 可愛い.......
俺は魂心のチューをする。
「ん〜ん〜っ。」
あ、陽菜が窒息するとこだった.....。
俺はなんで陽菜に振られたんだ。
はっきりはしないが、きっとデレデレ過ぎた?
いや、あ、プロポーズしなかったからか?
陽菜はプロのカメラマンとして独立を目指してる。
夢が形になるまではって、陽菜がいつも言ってた。
じゃ、なんだ?
あの日、陽菜は『もう一緒にいられない』だけ言った。あまりのショックで俺は何も聞けなかった。あまりにも、陽菜が陽菜じゃないような顔だったから。
今回は絶対に別れないぞ。
あ、でも俺いつになったら39歳になるんだ?
「ねぇ ねぇ かずちゃん」
「ん?」
やばい。愛おしすぎてずっと抱きしめていたい、でも少しデレデレを抑えよう。前回の失敗は繰り返すべからず。
「今日 おやすみとったんだよ。どうする?何する?」
何する.....俺は、今すぐお前を抱きたい......。
前は海に行ったっけな。全部変えてみよう。
「どっか行こう。美術館?」
「そだな〜海」
「海?まだ泳げないだろ」
「あっ。なんで、かずちゃんちょっと冷たいの?」
陽菜の大きな目がまっすぐ俺を見る
なんで陽菜そんな可愛いの?
「え いや。やっぱり可愛いな 陽菜」
「大好き 陽菜のかずちゃんっ」
と、陽菜は俺にまたくっつく。俺はたまらずまた終わらないキスをする。
「んーッ」
あぁぁ。ヤバイ。これは.....俺にはクソババアがただの悪夢で今が現実だと思いたい。
「大好きだよ。俺の陽菜」
そうだ、俺達はいわゆるバカップルだったのかもしれない。毎日が幸せだった。
少女のような妻の代名詞は陽菜だ。
結局俺は海に行く。陽菜のご希望通りに。
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