登場!恐怖の?練習試合相手!
作戦会議からあっという間に時がたち、今日はいよいよ練習試合本番。いつもと違うどこか張り詰めた空気のせいか、見慣れたはずの第二体育館が何だか違う場所に感じる。後は白間川学園が来るのを待つだけだ。
この二週間、僕は基本のフォームやフットワークをみっちり教えてもらった。自分たちだって少しでも多く練習したいだろうに、時間を割いてくれた先輩方や同級生には感謝しかない。今回の練習試合には間に合わなかったけど、少しでも早く戦力になれるように頑張るぞ!
他には、ノックのシャトル出し補助や、マネージャーである南先輩の手伝いもした。平日の帰宅は八時過ぎ、休日も体育館が使えない時は外も使って朝八時から夕方の六時までみっちり丸一日練習。そんな生活だったから、残念ながら授業は睡眠時間、先生の声は右から左だった。テスト期間に地獄を見ることになりそう。
普段は体育館の六分の一しかバドミントン部は使えないのに、今日は広々半分を使わせてもらえる。コートが三面も準備されているなんてなんだか不思議な気分だ。審判を買って出てくれたのは、女子バドミントン部のみなさん。基本他の部活からは疎まれがちな僕たちにとって本当にありがたい。
「困ったときはお互い様でしょ?今度私たちの人手が足りない時は手伝ってよね」と茶目っ気たっぷりにウインクする部長さんは、とってもチャーミングだった。
僕はというと、これが初めて見るバドミントンの試合だからとってもドキドキしている。「実際の試合を見ながらルールを勉強してみたらどう?その方がわかりやすいと思うよ」という南先輩のお言葉に甘えて、団体戦が始まったら、体育館の二階から応援しつつ全体の試合を見させてもらう予定だ。僕のために特別講師もいらっしゃる予定だが、それはまた後に触れることにしよう。
最初はどうにかこの試合までにルールを覚えて審判をしようとしていたんだけど、無理はするなと止められた。確かに今思うと、家に帰って即崩れ落ちていたここ最近の状況ではとても頭に入らなかっただろうな。
「失礼しますっ!」
来た?!
扉を勢いよく開く音と、張りのある声が響く。
「こんにちは!白間川学園バドミントン部です!!本日はよろしくお願いします!ほらっ!お前らも挨拶!」
「…っス」
「もっと声出せ!」
「……よろしくお願いします」
黒髪短髪がっちり体型のすっごく体育会系な人率いる金髪、茶髪、赤髪青髪バチバチピアスetc…なんというか、思っていたより怖くないというか見た目の割に大人しいというか。正直僕は、扉を破壊して登場したりラケットの代わりに金属バットでも持って乗り込んだりしてくるんじゃないかとビビッていた。
あれれ?何か想像と違う?
晴風高校バドミントン部一同が一瞬思考停止したのも無理のない事だと思う。
こんな奇妙な立ち上がりの練習試合になるなんて夢にも思わなかった。はたして一体どうなるんだろう。
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