―20― 鋼鉄の球
冒険者ギルドの掲示板には
また、ピンチになると卵を産卵し
そして
僕はこの3つに書かれた攻撃方法を見て、プランタダンジョンを攻略することに決めたのだ。
鋼鉄の球を盾で受ければ、勢いよく壁に叩きつけられる。そうすれば、壁をすり抜けられる、と。
だが、実際に戦うと
「キシャァァァァッッッッッッッ!!!!」
そう、今まさに
そういうことだったのか……。
足元にべったりついて離れない糸を見ながら、僕はそう思う。
なぜ
目の前の光景を見れば、答えにはすぐ辿り着く。
つまり、鋼鉄の球を生成するには非常に時間がかかるのだ。
目の前では、
その姿はまさに攻撃をしてくれ、と言わんばかりに隙だらけ。
そのことは
だから、僕が糸を踏んで動けなくなったとわかるまで、鋼鉄の球を作らなかったんだ。
「だったら最初から糸に絡まっておけばよかったじゃん……」
さっきまで糸から必死に逃げていたのはどうやら全部無駄だったらしい。
そうだとわかると、徒労感でぐったりしてしまう。
「キシャァァァァッッッッッッッ!!!!」
どうやら球の生成に終わったようだ。
銀色に輝く球が
この方向なら報酬エリアに接した壁まで飛ばされるな。
戦っている最中、いつでも壁に叩きつけられてもいいように、常に報酬エリアに接する壁を背中ごしに戦っていたので方角もばっちりだ。
あとは攻撃に耐えるだけ。
〈
そして、鋼鉄の球が勢いよく噴射された。
「グッ!!」
重い攻撃にうめき声を上げてしまう。
ビリビリッ、と足と地面をくっつけていた糸が剥がれていく音が聞こえる。
そして、鋼鉄の球と一緒に僕の体は壁に叩きつけられた。
「〈回避〉ッッ!!」
壁に接する瞬間、スキル〈回避〉を発動させる。
すると、スッと体が壁の中に入っていく。
気がつけば、報酬エリアにいた。
「成功した……」
安堵と共に息を吐く。
どうやら無事、壁抜けに成功し報酬エリアに辿り着いたようだった。
「もう、この靴は使い物にならないな」
靴にへばりついた糸を見て、そう口にする。恐らく糸を取るのは難しいのだろう。
仕方なく靴を脱ぎ、靴下で地面に立つ。
思えば、糸に絡まって動けなくなったとき、こうして靴を脱げば解決したんじゃ……。
まぁ、あのときは必死だったし結果こうして報酬エリアに来れたんだから、良しとしよう。
「肝心の報酬を確認しなくちゃ……」
僕は宝箱に近づく。
このプランタダンジョンの初回クリア報酬はなんと――
「2万イェール分の金貨なんだよなぁ」
実にしょっぱい。
あのファッシルダンジョンの初回クリア報酬が3万イェールで売れる〈旅立ちの剣〉だったことを思い出すと、いかにしょっぱいかわかると思う。
とはいえ、このプランタダンジョンは初回クリア報酬こそ大したことがないが、二回目以降のクリア報酬もそんなに悪くないのと、道中の
まぁ、僕の場合はこの初回クリア報酬しか旨味がないのだが。
とはいえ、下手に初回クリア報酬である〈旅立ちの剣〉を換金し続けたら、怪しまれてしまう可能性が高い。
だから、こんな風にお金を直接貰うほうが安全だ。
それに
ちなみに、プランタダンジョンから転移陣で外に出た後、真っ先にナイフと靴を購入した。
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