第20話:身体能力拡張系ナノマシーン投与
装備を一応装備しフェンリルの道案内によってやってきたのは目覚めた場所。
『まさか此処にまた来ることになるとはね…』
『今後はしょっちゅう搬送されるかもしれませんよ?』
『勘弁して』
ノエルが来たのは都市と言えば此処と言われる巨大な都市総合病院。医療も勿論義体化やナノマシーン投与等も行っている。
都市の中でも一際大きいこの病院は最前線たる第四都市の総合病院には及ばないものの南部であるこの病院はかなりの
『今日此処でノエルに丁度いいナノマシーンを投与する事とします』
『検査とか必要じゃないの?』
『あぁ、それは貴女は大丈夫です』
そう言ったフェンリルが独断で決めた物を見るも特に変な物でもなく、十分な性能をそれなりの金額を発揮する製品らしい。
総合受付で受付を済ませ、待ち時間の間に投与予定ナノマシーンの説明を見ながらフェンリルと雑談をする。
『このナノマシーンを投与すれば仮面を付けなくても私と念話を使用することが可能になると思います。汎用型のナノマシーンを選びました、ノエルが現在の収入でも十分支払える範囲の金額です』
『除去薬とかも必要なのね。私も回復薬多用してるしそう言う残留ナノマシーン除去しないとか…』
『理由は伏せますが貴女は少々特殊な体質と思っていて構いません。そう言うのは恐らく大丈夫です』
『…納得出来る理由が欲しいのだけど?』
『私はノエルの装備している情報収集機器を乗っ取っています。人間一人の簡易な検査くらい訳は無いです』
ノエルはその説明を聞いて一先ず納得したが具体的な内容が無かったことに疑問を抱いた。
自分の体は少なくともこの病院で目覚めた時は普通だったはずだと、そう考えるもやはり少々疑問はある。
『ナノマシーン適性が高い場合ナノマシーンがいい方向に残留効果を及ぼすことがあります。回復効果がずっと残ったりやたら消費速度が遅かったりですよ』
『その可能性が高いものを選んだという事?』
『そう言う事です。確実ではないですし私の時代の身体強化ナノマシーンより大分性能は劣っていますから』
『そう…』
フェンリルの説明は確かにあり得る話だった。ただその確率はかなり低いはずだ。多少確率高い程度だろうと思ったノエルはそこまで期待はしなかった。
『それより。昨日のO.D.Oについてどう思う?』
『私にも分かりません、オーバーテクノロジーの武装なら実在しましたが科学で説明できないとなると知りません。恐らく異界の技術等でしょう、別に対処しきれないわけでも無いと思います』
『何故?』
『例えそう言った物でも必ず何かを消費しているはず、もしくは性能限界があるはずです。人間に人型兵器が太刀打ちできない様に』
『ちょっと特殊な武器と変わらないと?』
『そう考えています。実物を見ない事には分かりませんが』
『どういったものがあるかしらね?空を飛んだりする剣?』
『そんな非効率的な事をするくらいなら誘導ミサイルでも撃ってください。私が誘導しますから』
『例えばの話よ』
そんな雑談をしているうちにノエルの番となりナノマシーン投与を開始する事となった。
案内された場所は集団治療所と表現するのが適切な医療用簡易ベットが複数並んでいる場所だった。
その中の一つに案内されたノエルはそこのベットに寝転んで直ぐに一錠の医療用回復薬を渡された。
「あらかじめ飲んでおいてください。鎮痛効果優先の回復薬です」
「あ、はい」
渡された錠剤タイプの回復薬を水と一緒に飲み込んで数秒後には腕に注射器が刺さっていた。
「貴女初めてよね?体に慣らすのに一時間かかるからその間は絶対安静ね。そこで寝てて、体に合わないと地獄のような激痛に合うかもだから覚悟してね」
そう言ってノエルにナノマシーン投与の点滴を刺した看護婦は次の患者の元へ向かった。
その間暇になったノエルは再び愚痴の混じった雑談をして時間を潰すことにした。
『これって一回いくらだったかしら…』
『50万ですね。性能は今使っている強化服と同程度の身体能力を得られると思いますよ』
『ナノマシーン使用者と身体強化服の差ってどうなの?』
『ナノマシーンは定期的に金がかかり更にそれ相応の防護服も必要です。ですがある程度お手軽に身体能力を向上させる事が可能で、機械では補いにくい反射速度や思考速度を上げることも可能です。壊れる強化服と違ってしっかりと適性検査を行えば投与する分には大丈夫ですしね。ただナノマシーンは強化服を着る場合は強化服との相性が良い物を選ばないと十分な性能を発揮しないのが駄目ですね。
強化服は一回買ってしまえばバッテリーとメンテナンスすればある程度長い間使えますし売却して多少リターンがある可能性がありますね。ただ強化服はバッテリー交換を戦闘中に行うなどの可能性が高いですし最悪の場合戦闘の真っ只中で機能停止の可能性があります』
『どっちもどっちね』
『どっちが良いかと言われてもどっちもどっちでしょう。初期である程度の金額が用意できるなら強化服を選ぶことが多いでしょう。どちらかというと強化服を使うことになると思いますね。ナノマシーンは基本的に防護服も買わないといけませんから』
そんな話をしながら時間を潰したノエルはナノマシーン投与が終わり、体に適応されたのを体感しながら体を起こす。
先ずノエルに看護婦から言われたのは力加減への注意だった。
「出来る事なら強化服を着て過ごしてください。そこんじょそこらの物を破壊しながら歩くことになりますから」
フェンリルに強化服の調整を任せ。一先ず慣れるまでは極力力を抜いて生活する事になった。
『丁度いい時間だし、昼食にしよう』
『じゃあ食堂に行きましょうか。美味しいかは兎も角安いみたいですね』
『不味くなかったら何でもいいわ。いや美味しいに越したことは無いけれど』
『またシリウスに行けるといいですね』
『あそこと比べたらね…』
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