第172話 役員会議室
社長室と同じフロアに設置されている、白馬機工本社でもっとも立派な会議室。
『役員会議室』
この会議室に入ったことがある一般社員は少ない。
会社の最上級会議である取締役会と経営会議のために用意されている会議室である。
事務局以外は、取締役や執行役員、事業本部長クラスと会社の中枢を担う超重役しか出席を許されない。
例外があるとすれば、議案に沿って特別に招集される参考出席人だ。
真奈美は役員会議室にはなじみがある。経営管理部だったころは経営会議の事務局をしていたからだ。
しかし、参考出席人として招集されたのは当然初めてだった。
鈴木部長、山田と真奈美が役員会議室の入口に立つと、経営管理部の元同僚が扉を開けた。
「MA推進部、到着いたしました」
会議室に入ると、正面に社長以下執行役員がずらっと並んでいる。手前側には事業本部長陣営が並んでいる。右側には事務局、つまり経営管理部時代の同僚たちが座っていた。
つい3か月前の3月15日までは、真奈美も右側のその席に座っていたのだ。
でも、今日は違う。
参考出席人は、左側、大型プロジェクターが映すメインスクリーンの横に立ち、社長や執行役員、事業本部長がそろっている場で説明や質問に答えることを求められる。
3人はそこに立った。
(まさか、私がこっち側に立つなんて……)
3か月前では想像もできない非常事態だった。
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