第168話 上を説得?
真奈美が鈴木部長への説明結果を改めて報告すると、片岡本部長は苦い顔でうなった。
「うーん、やはり計画を示すだけではだめか」
「はい。そこで、次は計画策定のバックデータとなる、SOMの説明をしようと考えてます」
真奈美は資料をもって説明をした。
「わかりやすいな。さすが酒井さんだ。佐々木さん、この資料、うちのメンバーに配って参考にするように徹底してくれ。うちの説明資料は細かすぎるだけで論点も整理できていないからわかりにくい」
そしてがはははと大笑いする。いつも通りでほっとする瞬間だ。
「ありがとうございます。片岡本部長。事業部の皆様から細かくデータをいただけたおかげでまとめることができました」
「うん、これで鈴木部長に説得しに行くということだね」
「はい」
片岡は笑顔をしまい、少し考えこんだ。
「この説明で市場規模はうまく説明できるだろう。その市場のシェアをどうやって奪い取るか。SOMを実現するための市場の反応が欠けているんだよな」
片岡の評価に、山田もうなづいた。
「やはり、その部分は説明が難しいですか」
「うん。製品が試作品でもできていれば、マーケティングリサーチのやりようもあるんだけど……」
片岡は頭を抱える。
新規事業の企画フェーズに対して具体性を求めること自体が本来不可能への挑戦みたいなものだ。
「鈴木さんは上からの評価がすべてだからなぁ。どこまでを求められるのか……これでも足りないとか言われるかなぁ」
頭を抱える片岡と山田。
そのとき、真奈美がぼそっと呟いた。
「上からの評価が気になるなら、その上を説得できれば鈴木部長も了解するということでしょうか……」
そりゃそうだけど……と、一笑されるかと思いきや、山田はまじめな顔で質問した。
「それって、具体的な方法って考えられる?」
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