第166話 SOMの導き方

「例えば、白馬機工のコンシューマ事業本部が新技術で新たな製品を開発し日本の家庭用ロボット市場に超ハイエンドロボットとして送り出す場合……」


真奈美はホワイトボードへメモ書きを続けた。

『TAM=全世界の人口✖ロボット普及率✖ロボット平均単価』


 同じ考え方でいくと、SAM=日本の人口✖ロボット普及率✖ロボット平均単価、となるのだが……


「SAMが粗いと説得力に欠けるので、カテゴリー別、販路別のように分解したSAM分析をします」


 真奈美はポンチ絵をかきながら説明を続けた。


『TAM→分野別SAM→自社獲得シェア見込×分野別SAM=分野別SOM』


 分野別SOMの合計が、新規技術による合計SOM、すなわち、販売拡大が見込める規模というわけだ。


「あとは、技術開発、調達、生産、販路確保などの具体的な実行計画に落とし込んでいきます。このあたりは、事業本部がシナジーP/Lを作ったときに裏で計算されているはずです」

「いいね。それを整理してもらおう。市場規模から説明ができるなら、具体性が補完できるかもしれない」

「わかりました」


 真奈美は、さっそく佐々木に電話をしようとして……振り返って質問をした。


「あの、このあたりは事業本部から直接説明をしてもらっても良いと思うのですがいかがでしょう」


 悪くない考えだと思ったが……山田は渋い顔だった。


「うーん。最後はそうせざるを得ないかもしれないけど。でも鈴木部長と片岡本部長が対立しちゃうと、後戻りできなくなる。私たちだけなら何度でもリベンジができるからね。もう少し、ぼくらでチャレンジしてみよう」

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