第12章 経営会議

第163話 いよいよ正念場

 6月9日月曜日。朝。


 真奈美はいつも通りワンルームの洗面で化粧を終えると、鏡に向かって声をかけた。

「さて、いよいよ、これからが正念場ね」


 そして、通勤電車を使い本社オフィスへ。


「おはようございます」


 いつも通りの元気な挨拶。

 いつも通り、山田は打ち合わせコーナー。今は違うプロジェクトの打ち合わせに入っている。


 真奈美は自分の席に座ると、黙々と資料作りを始めた。


 昼前になると、山田の時間が空いたようで、打ち合わせコーナーから真奈美を呼ぶ声が聞こえた。


「はい、今行きます」


 真奈美は、作成中の資料をもって、山田に相談をしに行った。


「じゃあ、鈴木部長への説明の準備を始めようか」

「はい。こちらが資料です。まだ準備中なのですが」


 真奈美はプロジェクターで資料を写した。


 前回MOU締結時のサマリー。

 DDレポートのエグサマ。

 出資契約(SSAとSHA)の概要。

 4つの協業プランと、それを推進するための業務提携契約の概要。

 シナジー効果をあらわしたシナジーP/Lとその根拠……根拠……。


「やはり、具体的な根拠といわれると難しいな」


 山田も頭を悩ませていたが、とにかく今準備できる材料はこれだけだった。


「うん、でも話の流れはわかりやすいし、これでいいと思うよ。明日にでも鈴木部長に報告しようか」

「はい、それでは、資料を完成させますね」


 こうして翌日、山田と真奈美は鈴木への説明に向かうことになった。

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