第78話
Sincerely
神坐す深淵なる森の奥で、オレたちは口づけをかわす。熔けて互いがくっつくのではないか? というような熱いキスであるけれど、唇を離した四条 真杜は目から大粒の涙をこぼしていた。
「ごめんなさい……。ごめんなさい……」
申し訳なさそうに肩をすくめるけれど、でも湧き上がる何かを止められないように、ふたたびオレに伸び上がるようにして唇を押し付けてくる。
あまりに情熱的で、長いキスになるため、互いに鼻息も荒くなり、それでも止まらない。唇を離すと、糸をひくのは舌を何度もからませた結果、唾液がまじりあったものなのか? それとも涙、鼻水がまじっているからなのか? オレにもよく分からなかった。
「泣かないで。大丈夫だから……」
オレもその涙を指でぬぐってあげるけれど、そんなことで乾くはずもなく、また唇を重ねてくる。
彼女からSOSが来た。オレが駆け付けると、森に引っ張っていかれ、このキスが始まっている。
彼女も、自分でも何でそうなるのか、分かっていないのだろう。でも、オレには分かっていた。彼女は前の人生で、四~五年の間、ずっと男たちに監禁され、レイプされつづけていたのだ。この時間軸では、彼女は誘拐される寸前でオレに救われ、こうして日常生活が送れているけれど、本来そうなるべきだった事態が、彼女にも影響してしまう。
時の強制力――。彼女は今、何人もの男たちに、滅茶苦茶にされている状態を体に感じて、疼いて仕方ないのだ。
でも自分では、ナゼそうなるのか? 気づいていない。自分がおかしくなってしまったのではないか? 神に仕える身でこんなことをしている……。そんなぐちゃぐちゃな感情が交錯し、それが涙となってこぼれ落ちていた。
本当は、オレがエッチをしてあげるべきかもしれない。その方が、彼女の心を鎮められるはずだ。
同じように前の人生では誘拐され、男たちに滅茶苦茶にされた渡ノ瀬 紗季の場合、解放されたタイミングが早かったこともあり、数日だけ、そうした熱情にうなされたようだけれど、今はもう平静にもどっている。
彼女はそれこそ数年にまたがって、恥辱に耐え続けたのだ。この状態がしばらく続くことも考えられた。
でも彼女は、オレの初めての恋人だった梅木 美潮の従妹なのだ。
わだかまりがない、といえばウソになる。それは否定的、というより罪悪感に近いのかもしれない。
「オナニーって、したことある?」
ちょっとびっくりした表情だけれど、もう顔は真っ赤だし、ここまで濃厚なキスをしておいて、今さら恥ずかしがることもない。
「自分で慰めれば、心が落ち着くかもしれない」
「私……やったことありません」
彼女は中学一年生。早い子なら体験済みだろうけれど、幼い顔立ちであることからも、彼女は晩生にあたるはずだ。
「お、教えてください」
「でも、キミの陰部にふれることになるから……」
「構いません。お願いします!」
彼女の緋袴を、裾のところからたくし上げていく。ふだんからあまり短パンなどは穿かないのだろう。日に当たらない、真っ白い太ももが露わとなる。
彼女は背が低くて、恐らく巫女としてのこの衣装も、仕立て直されているのだ。だからほっそりとした足との間に、かなり隙間がある。オレもその隙間からちらっと覗く白いパンツの上に、手を滑りこませた。
「はぅッ……」
初めて男の太い指がその上をたどり、彼女も思わず手をもってくるけれど、手は袴の上からで、邪魔になっていない。
しかも、パンツの上から軽く手をすべらせただけで、彼女は「ふわぁぁぁぁッ!」と声を上げて、手で股間を抑えようとしているために前かがみとなりながら、頭だけぐっと後ろに反らせた。
イッたようだ……。でも、それすら彼女は気づいていないだろう。自分の体に起きている変化に、脳が追いついていないのかもしれない。
「恥ずかしがらずに、手をどかして……」
耳元でそう囁くと、彼女は脱力していたこともあり、袴の上の手をどけた。
左手でふらつく彼女の体を支えるために肩を抱くようにして、右手は足の方から下着の中に手を忍びこませる。産毛のようなものが感じられるけれど、やはり成熟が遅いようだ。中一でも生えそろっておらず、この辺りは美潮のときと同じ……そう感じさせた。
指先にふれる彼女の大事な部分は、そこをしっかりと守り通してきたことを示すように、硬く口をすぼめていると感じさせた。先ほどイッたけれど、まだまったく濡れていないこともそうだ。むしろ恥ずかしさと緊張で、からからに乾いてしまっているのかもしれない。
その淵をゆっくりと中指と人差し指をつかって、優しくマッサージをするように、解きほぐすように動かしていく。
抜けていた体の力が、ふたたび戻ってきたのか、ぎゅっと体を固くして「ダメ、嫌……汚……」と、小さな声でつぶやく。
今まで、自分でもさわったことはあまりないのだろう。潔癖な子だと、そこを汚らしいと感じるのかもしれないけれど、彼女の場合は『汚れ』ではなく『穢れ』になるのかもしれない。
初めての刺激に、少しずつ緩んできたことを感じて、まだ真っ暗なトンネルに向けて、指を押し進めていく。
「あぁ~……、嫌!」
ここにきて拒否感がでてしまったのかもしれない。強く身をよじらせてきたので、オレも肩に回していた左手で、彼女の顎をぐっともちあげ、唇を重ねる。
彼女もふたたびオレを感じて、少し落ち着くのと同時に、自分の中に初めて入ってきた、その感触に戸惑うのか、足をぎゅっと閉じて、こちらの手の動きを制するようにしてきた。
しかし、ここで彼女にしっかりと自分で慰める術を憶えてもらわないと、きっとその疼きに、自らを嫌悪の対象としてしまうかもしれない。ここは心を鬼にして、最後までイクべきだと考えていた。
指先が目的地に到達した……。彼女はそれだけで「ふ~……」と小さく吐息を漏らして、体の力が緩んでしまう。彼女が感じやすいのではなく、最初から今日は、もう体が疼いて、疼いて仕方ないのだ。
初めての彼女に、優しくその周囲から刺激を与えるよう、小さく動かす。直接責めるより、こうして軽く責めて上げる方が、後で自分でするときにもよいはずだ。自分ならいくらでも加減できるので、良いところを見つけられるのだから。
「……ん、……ん」
彼女はそのたび、オレの指をギュッ……、ギュッ……と締め付けてくる。夢見心地なのか、目をつぶっている。オレがその唇に唇を重ねると、やっと眠れる姫はうっとりとした眼を開けてくれた。
「ほら、自分でもしてみて」
彼女の手をつかんで、自分のところにもっていかせ、指を優しく誘導してあげる。
「ふんふ~……♥」
これで、少しでも自分で慰めることができるのかもしれない。でも、まだ涙目ながら、オレを見上げてきた彼女は「自分でもできますけど……。また、お願いしていいですか?」と、甘えたような声をだしてくる。
でも、オレも梅木とのあの夜のことを思い出して、正直興奮してしまう自分がいるのも事実だった。いつも義務的に、必要とあれば直立するあそこが、今はそうする必要もないのに、反応してしまっている。オレはその自分の興奮を鎮めるためにも、またその答えになるように、もう一度唇を重ねるのだった。
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