第38話
Mendacity
半藤に教えてもらった住所にくる。そこは古めのマンションだった。マンションといっても、高層のそれではなく、四階建てぐらいの、ハイツといってもいいけれど、マンションと銘打たれているので、そうしておく。
エレベータがないことも覚悟していたけれど、エレベータはちゃんとあった。ワンフロア4部屋なので、部屋自体も小さいのだろう。単身者向けという感じだ。
郵便受けには苗字だけで、『本町』とあった。
もう引っ越している可能性もあるけれど、オートロックではないので、とにかく部屋まで行ってみることにする。
呼び鈴を鳴らすと、中から女性の声が聞こえ、ドアが開く。中からでてきたのは、あのときの女性ではなかった。
「この部屋に三年前、住んでいた女性を訪ねてきたんですが……」
「え? あぁ……、ごめんなさい。私、四月からここに暮らしているので……」
「あぁ、そうですか? すいませんでした」
オレはマンションをでた。事情は大体わかった。
そう、見たことのない女性の顔は、あの日にみた女性の顔を、整形したものだったからだ。
化粧以上の変わりようだったので、一瞬戸惑ったけれど、間違いない。見ず知らずの、突然の来訪者にわざわざ「四月から……」なんて説明をしたことで、それが決め手となった。
元の色が何かも分からないほど染められた髪も、落としきれていない化粧も、彼女が水商売をしていることをうかがわせた。彼女は整形費用の捻出に困ったのだ。そこで、闇金に足りない部分を頼った。恐らく、水商売で働くつもりで、それでお金も返すつもりだったのだろう。整形して、きれいになって、稼いだ金で返す……。ただ、取り立てが早くて、架空の兄の存在をもちだして先延ばしを狙ったけれど、そういうわけにもいかなくなり、あの場に……。
何も解決しなかったし、ただの徒労に終わっただけで、犠牲に見合っていないけれど、オレは満足した。むしろ笑ってしまった。確かにあの頭痛は、事件を知らせていた。しかし、その顛末はこの程度のことだってあるのだ、と……。
オレは小平に呼びだされる。
「もう父親から暴力を振るわれることがなくなったんだから、別にオレと会う必要はないだろ?」
「何言っているの? 私が、そういうグループと付き合いがあるって、お父さんが怯えているのよ」
「不良じゃないんだし、別にいいじゃないか。悪い奴の女になった……とは言っていないんだし……」
そう、半藤に頼んで、半グレの連中が「アンタのところの娘は、もうオレたちの仲間になったから、下手に手をだすと、オレたちがアンタのところに行くぞ」と脅したのだ。
娘を自分の奴隷、もしくは下に見ていた大人、親にとって、急に上に立たれたのである。手をだせばそれ以上の反撃をうける……そう考えれば、むやみに手を出してはこない。道徳心ではなく、自制心による抑止効果だ。
「もう……。確かに解決はしたけれど……」
「逆に、それ以外の方法だと、いずれ蒸し返すだろ? キミが、そういう連中と付き合っている……というのが、もっとも確実で、長期的にもいい解決法だと思ったんだけど……」
「だから、責任をとってよ」
小平の部屋に来ている。「責任って、こういうこと?」
小平はすでに上下トレーナーで、くつろぐ姿勢であるけれど、部屋で二人きりになってすること……。
「はっきり言っておくけど、私はエッチが好きじゃない!」
「……は? だったら何で?」
「でも、富士見君が好きなんでしょ? 仕方ないから、エッチさせてあげる」
「う~ん……、まだよく分からないんだけど……」
「言ったでしょ。私は富士見君が好き。だから、エッチをさせてあげるってことよ」
据え膳? エッチを好きといったつもりはなく、ただ経験が多くなっただけで、そこは間違えているけれど、据え膳は食べておくに限る。
「まだエッチのよさが分からない、というのは、お子様の証拠だよ」
「む! 中一の女の子はふつう、エッチのよさなんて知らないよ~だッ!」
そういって、舌をだしてくる。
まだそこまで大人でない体に、まだ大人の考え方もできていない。子供っぽさが抜けないけれど、恐らくこれが、ふつうの中学一年生なのだ。彼女とは同じ小学校だったけれど、一度も同じクラスになったことはなく、中学に入って知り合った形だ。顔ぐらいは知っていたけれど、それでオレに父親の暴力を訴える気になり、こうして関係するようになった。
「いや~……。何でそんな、意地悪をするの?」
「まだ感じない、と言っていただろ? だから、感じさせてやるのさ」
彼女の背中から手を回し、トレーナーの下に手をつっこんで、下腹部を弄り倒していた。オレから逃げようと、立ち上がろうとするので、足をからめて抑える。ただそうすると、手で彼女の下半身をさわることができなくなり、仕方なく胸をさわり始めるも、それすら嫌がるので、取っ組み合いになった。
何だか変なプロレスをしているようになり、お互いにまだ服を着たままなので、まったくエッチをしている気分ではない。
「エッチをするのに、服を着たままかよ!」
「意地悪をする、富士見君にはもうさせてあげません!」
「エッチはしなくても、イカせてやるよ」
「ちょ、やめて! もう!」
隙をついて胸をさわると、彼女がさっと手で隠そうとするのを、今度はわき腹をくすぐってみる。身をよじらせるも、お腹を足ではさんでいるので、身動きとれず、小平は足をはずすため、こちらの足の裏をくすぐってくる。もうベッドの上で、何をやっているのか、分からなくなってきた。
イカせる……という目標に頑なになったオレは、彼女のトレーナーに手をかけて、強引に脱がしにかかる。足をバタつかせ、何とか脱がされるのを拒否しようとするのを、足にタックルするように片手で抱え、体をつかって抑えこみ、もう片方の手で引きずり下ろした。
ピンク色の可愛いパンツがのぞき、オレもそのパンツに顔をうずめると、小平は「もう! もう! もう!」と、頭をどかそうと手をかけてくるので、パンツの上からでも吸い付いて、そこにばっと息をはきだす。
「ひゃ~ッ‼ バカ、バカ、バカ、バカッ!」
足をバタバタさせるので、頭をぽかぽかと蹴られる。こちらは手で足を押さえるのと同時に、体全体をつかってのしかかる。
「ほら、下着を脱がないと、またさっきみたいに空気を吹き込むよ」
「もう~、知らない!」
それで、だいぶ抵抗も和らいだので、下着を下ろす。でも、まだ足をピタッと閉じて抵抗を試みてくる。
ただ、ここまでくれば手練手管がつかえる。頭を内腿にこすりつけて、さらに内腿を舐める。
あまり気持ちよさが分からない、と言っていたけれど、彼女は身悶えして、それに応じる。まだ全身を押さえつけていて、彼女とは逆向きになっているので、上から見下ろす形で彼女のまだ未成熟なそこに、口をつける。
「うふぅん♥」
嫌がっていても、されればやっぱり、歓喜の声を上げる。ただ、本人曰く「よく分からない」というので、できるだけ丁寧にそこを弄ってあげる。
結局、ゴールは同じだけれど、そこに至るまでが、まるで強姦のよう……。ただ、それも悪ふざけをしているようなもので、やっぱり子供の感覚が抜けていないのだ。ただ、こういうのも悪くない……と、オレも少し思い始めていた。
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