エピローグ
エピローグ
「これ、この前借りたCD、サンキューな」
黒田の様子が変わった。前までは静かで暗い男だと思っていたのだが、最近では向こうから声をかけて、会話の数も格段に増えた。好きなアーティストのCDも貸してくれるようにもなった。
「どういたしまして。どうだった?」
「おお、めっちゃカッコ良かった! 特に三曲目な。絶対ライブ映えするだろ」
「やっぱりそう思う? ねえチケット当たったら一緒にライブ行かない?」
「良いね、行く行く!」
「それじゃあ応募しておくね」
「サンキュー」
以前は一緒にライブに行こうなんて口が裂けても言わなそうだったし、なんだか笑顔を増えた気がする。それに何より気になるのは……。
「ねえ、なんのCD?」
「最近出てきた新人バンド。白石さんも聞く?」
「聞いてみたい! 貸してくれる?」
「うん、良いよ良いよ」
明らかに黒田と白石さんが仲良くなっている。二人とも大人しいタイプだったのに、これは絶対に何かある。俺は黒田の肩を叩いて言った。
「なあ、お前ら付き合ってるだろ?」
黒田と白石さんはお互い見つめ合った後に、俺の方を見て同時に言った。
「秘密だよ」
秘密メイクシンドローム 岩久 津樹 @iwahisatsuki
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