決意
「おはよう」
4つ下の双子の従弟、テオとテルマは父さんと母さんが旅立った後に起きてきた。
「僕たちも考えたんだけど、まずは近場をちゃんと探そう」
残っていた朝ごはんを食べながら話し出す。どうやら二人とも起きていて話を聞いていたらしい。
「このあたりの地図を描いたんだ。まずは僕たちが探した場所は『×』を書いておいた。アークとリリスも探した場所は印をつけてくれ」
僕とリリスが探した場所も記載していく。二人のつけた印とほぼ重複していたし、皆でここ何日かは近くを探し回っていたので山の近場と街には『×』がいくつもついた。
今後の捜索は『×』印がついていないところから範囲を広げて行くことになった。
それからリンの持ち物とイーサの持ち物から手がかりがないかと探したが、二人とも持ち物があまりなく、リンが行きそうな場所の手がかりは見つからなかった。
一晩経って、父さんと母さんが帰って来た。
けれども、手がかりと呼べるものは何も見つからなかった。
二人は実際に探しに出てみても、目撃情報も無く、どこに行き、どこを探したら良いのかわからなった。
探す範囲を少しずつ大きくしながら地道に探すしか方法はないかもしれない。
でも、僕はリンがいなくなってからずっと考えてた。
「リンは散歩って言っていたけど、本当は空を飛んでいったんだ。僕は止めなかった、ごめんなさい、僕のせいだ」
皆が突然の僕の発言に目を丸くした。婆ちゃんも他の家族もリンが飛べること、竜の姿で出かけたことを知らなかった。
「リンは僕が探す、僕が一番リンを探すのは得意だ。リンの気配も匂いも知ってる。探すための旅の仕方とか身の守り方とか薬草のこととかなんでも教えて!」
母さんは深くため息をつく。
「分かったわ。私の教えられることは全部教える。剣術とかは私とターチスで教えるわ。薬のことはアルヴァと父さんに」
父さんとアルヴァ叔父さんと爺ちゃんはうなずいてくれた。
「それから長く探しに出るなら食事や繕いも必要よ。母さんとフィフィに教えてもらいなさい」
婆ちゃんとフィフィ叔母さんもうなずいてくれた。
「でもあなたが子供のうちは一人で行かせないわ。15歳まではダメよ」
「でもっ」
4年経ってもリンが帰って来ない状況を想像して絶望し、反論しようとした。
「少し遠出すれば盗賊や獣も出る。子供のお前が一人で旅をして宿に泊まったりすることは難しい、私も反対だ」
父さんが言うことは正しいと思う。
それに、家を出て一人で宛もなく探しに行くこと想像すると、どうしてもうなずくことしかできなかった。
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